前回はポット交換の際に気をつけるポイントとして、シャフトのネジ部の径、シャフトの径と形状についての話しをしましたが、今回は内部の話しをしようかと思います。
ギターの配線自体はとても簡単なものだけど、信号の流れを追う時にパーツの構造がわかってないと躓いてしまうので、まずは構造などから。
ボリュームポット(可変抵抗器)の記号はこんな風に描きます。番号は各端子に割り当てられていて、1番と3番の間を2番が行ったり来たりする事で仕事をします。間のギザギザが信号を流れにくくする抵抗という部分。これは後で説明しますね。
図はピックアップからのシグナルが3番に入って、2番からジャックへ流れていく一般的な使い方。1番はアースに繋げておいて、1番2番が繋がると音が出なくなる仕組み。つまりボリューム0。3番と2番が繋がればピックアップからのシグナルが全てジャックに流れて音が出ます。これが10の状態。
では実際の部品を見てみよう。物によってはこんな感じにバラす事が可能。
この左2つのパーツが先の回路図の実際の姿。黒い部分がカーボンを塗った抵抗で、このレールの上をスライダーが滑る訳だ。
スライダーは内側と外側に接点があって、内側の接点は2番端子から出ているリング状の部分と接してます。外側の接点は黒い抵抗部分と接していて、その位置が1〜2番間と2〜3番間の抵抗値を分配している感じ。
ナントカえもんみたいになってしまったが、先の記号だとこういう事。
因みにトーンは別にトーン用のポットがある訳ではなく、大抵ボリュームと同じ物を使う。要は繋ぎ方の違いね。
さてそれではいよいよ本題、抵抗値とカーブについて。
まず抵抗とは何ぞや? よく基板にくっついてる落花生みたいなマトリョーシカみたいなヤツ。それが抵抗。はい、コレです。
これは固定抵抗というヤツ。電気の流れるラインに組み込んで電圧を分配したり、制限する役目のもので、組み込んだら値をイジる事はないので固定抵抗ね。
で、抵抗値とはその電気の流れにくさを表す数字で、大きいほど流れにくい。フィルターの目の細かさなどをイメージするとわかりやすいかも。単位はΩ(オーム)。
リード線などにも僅かながら抵抗はあるので完全に0とはならないが、無視してよいレベルという事で0としてる。
で、そのリード線と同様にピックアップのコイルにも抵抗値があるが、こちらは塵も積もればナンチャラで、何千ターンと巻き付けられてるコイルの抵抗値はキロ単位に。だいたいシングルコイルで6〜7kΩ、パワーのあるハムバッカーでは15kΩくらいのもある。
そこでよく耳にするのは、シングルコイル用のポットは250kΩでハムバッカー用は500kΩを使うという呪文。これは電気的に正解の数字という訳ではなく、単にフェンダーがストラトに使っていた数値が250kで、ギブソンが使っていた数値が500k(昔は300k)てだけなんじゃないかな?
正直なところ、この呪文はかなり安易だと思う。理屈はしらんがとりあえずこれだけ覚えとけばOK、みたいな感じであまり好きではないです。
実際、8kくらいならシングルコイルもハムバッカーも存在するので、それをシングルだから250kとかハムバッカーだから500kとするのはちょっとね。間違いはないんだけどね。
ただそれ以外にも選択の方法がある訳で、例えば抵抗値が大きいとハイが残ってゲインも多少稼げるが、反面ノイズが目立ちやすいデメリットがある。逆に小さいとややおとなしめで落ち着いたトーンになり、ノイズも抑え気味になるとか。楽器店時代の大先輩はこれを "感度のようなもんと思って" と教えてくれたが、すごくイメージしやすい表現だと思う。
未だにピックアップ交換の時、ポットどうしようか迷う事あります。シングルからハムに変える時に、元のピックアップが8kで250kのポットが着いてるところを10kくらいの物に変える場合とかね。
そう、あと1つ2つ違う値のポットがあればよいなと思う。380kとかあったら使ってみたいな。
因みに10%くらいの製品ムラは普通にあるので、実測すると思わぬ数値に遭遇する事はあります。
また今回も長くなってきたので、カーブについてはまた次回に。特種なポットなども紹介してみようか。
それではまた。