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Rune guitar

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ギターリペアマンの視点から、仕組みやパーツなどにまつわる話しを綴っています。

あんまりなヤツ

あんまりなヤツ_c0179274_0314653.jpg


 ブリッジの貼り直しである。アコースティックギターのブリッジは経年変化でよく剥がれるのだ。原因の多くは弦の張力によるトップ板の変形で、これが引き金となって大抵は紙1、2枚程度の隙間が出来る。弦をピンで留めるタイプならブリッジが吹っ飛ぶ事は無い。まぁ、よくある症状というか、ある意味ブリッジも消耗品(変形や割れたりもする)なので、交換を考えると剥がれてくれないと困るのだ。あまりに強固にくっついてるとトップにダメージがいく。

 しかしその逆で、あんまりな接着で世に出てしまうギターも多い。コスト、生産上の都合だろうが、基本的に接着剤が効きにくい塗装面に瞬間接着剤のようなものでペタッと貼ってあるモデルって結構ある。本来なら、木の面同士を加熱や加湿で剥離可能な接着剤(ニカワや水溶性のもの)で接着すべき部分なのだが...。



 画像のモデルは国産の某有名メーカーのもの。結構古そうだ。いつ剥がれたかは判らないが、持ち込まれた時はまるでトレモロのアームダウン状態である。まさしくあんまりなヤツだ。弦を外したらブリッジもポロンと取れた。コイツを再び接着するには、まずブリッジの形状に合わせてトップの塗膜を取り除かなければならない。

 
 ここでようやく話したかった所になる。アコギのトップ板は単板ならブックマッチが当たり前。一枚の板を、本を開くように二枚に割って接ぐ方法だ。この製法上、刃物が噛む向きが左右の板で逆になる。スプルースはノミ等がちょっと噛んだだけで深くめくれたりするので木目の向きは要注意なのだ。これは塗膜を剥がす上でもかなり重要な事で、極力平面を維持し塗膜だけを取り除きたいのだから、必ずセンターを境に左右で反対の方向から剥がす。その工程で半分までいった所がこの画像。

 ま、別にあんまり大したネタじゃないんだけどね。こういう所にも気ィ遣ってんのよと言いたかっただけさァ。オソマツ。
by rune-guitar | 2009-09-16 00:33 | guitar repair

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