レオン ド スメット
ラーテム村のアーティストには、エミールクラウスよりも前に第一世代と呼ばれる人たちがいた。代表格はラーテム村出身のアルベイン ヴァン デン アベールと、転入組のジョルジュ ミンヌ。このミンヌの作品は絵画だけでなくブロンズ像も出展されていて、”ひざまずく少年”というのが凄かった。

そんなに大きな作品ではない。高さ1メートル無いくらいだったかな。タイトルにある”ひざまずく”というのがオリジナル通りなのか判らないが、まぁ、大抵は何か悔い改めてるか絶望的な程に打ちひしがれている時に使われる言葉だ。うん、まさにその通りの苦悩の表情。僕はあまり立体の作品というのは興味なかったので他を知らないのだが、下手すると生身の人間よりも深いものを感じさせるその面持ちは、そのまわりの空気感を一変させていた。また、これにかなり近い”聖遺物箱を担ぐ少年”というのも出展されていた。

そしてそして、第二世代からレオン ド スメットの”室内あるいは恋人たち”という作品。部屋の空間を目一杯使い、人物は右下に配置。壁にある2枚の大きな絵は実在する自身の作らしい。で、中央付近の白い彫像。これが先述のミンヌ作”聖遺物箱を担ぐ少年”。この像を含め、他にも皿や室内の造り等が”読書”というもう一つのレオン作品に登場している。仲良かったんだね。
余談だが、レオンにはギュスターブ ド スメットというお兄さんがいて、彼の作品もたくさん展示されてたけど、どちらかと言えばギュスターブは大胆な路線変更後の1920年代に描かれた作品が評価されてるらしく、展示数もそっちの方が多かった。正直、印象主義では弟の方が断然上手いと思うよ。”白樺”や”林道”という作品では、え?3D? みたいな錯覚に陥らせてくれる。なんか出っ張って見えるんだ。不思議〜。

同じくレオン作 ”桃色のハーモニー” これなんかは兄貴にゃ描けないだろうなと思う。いや、別にけなすつもりは無い。兄は兄で違う道を選んだのだし、それで正解だろう。ただ、僕は弟に惹かれるかな。
この作品ではエミール譲り?の印象派技法、点描プラスアルファが発揮されている。解説によれば、人物とりわけ胸の辺りは点描を控え、かつての写実的筆致になっているのだそうだ。結構大きな作品で、胸元は目線よりも上の方だったため肉眼ではよく判らなかったけど、そういうところに別の思考が働いていた辺りが、やっぱひと味違うかなと。ん..その..兄貴とね..。
さてさて、なんだかんだでやっぱり面白かったよ、今回は。実はコレより前に”遥かなるロシア展”(だったかな)というのも観に行ってたんだけど、そっちはいい作品が思ったより少なかったからね。こういったメインとは違う人に出会える作品展はとても嬉しい。つまりはあんまり知らない方がいいってコト??
お土産のベルギー王室御用達のクッキー、おいしかったっス。デハデハ。