ブログトップ

Rune guitar

runeguitar.exblog.jp

ギターリペアと日々のコト・・・

オクターブチューニング

 年が明け、早くも一ヶ月が過ぎてしまった。実はこのところ預かり件数がかなり多く、ちょっとキャパオーバー気味。ブログも放置プレイになってしまった。チェック入れてて下さった方には申し訳なかったです。ゴメンナサイ。

 そんなこんなの中、最近オクターブチューニングの話しをする事が何件か続いて、どうせならブログに書いておけば今後も役にたつかなと思い、今回のネタは ”オクターブチューニング” である。知名度の割にあまり内容が知られてない事ではNo.1かも。特に初心者の方なんかは、やり方はネット検索なんかで調べられたりするが、いざ作業は出来たとしても”何が変わったのか?”が判らないのではないかな。そもそもオクターブが合ってない状態がまだ認識出来てないとか。また、中級クラスの方でも”なんか合ってない”、”うまく合わせられない”みたいな場合も多いと思う。そういう方にも是非参考にして欲しい。

 さて、一般に知られているオクターブチューニングの概念は開放の音程と12Fの音程をちょうど1オクターブ差で合わせるというものだ。やり方についてはコチラを参照いただくとして、ここまではチューナーと必要な工具があれば初心者の方でも出来る。しかしそれは基本であって、欲しい結果ではない事が殆どだ。本来の目的は12Fの音程を合わせる事ではない。同時に鳴る他の音程(自分以外も含めた)とのインターバルを適正にする事だ。
 初心者の方の為に補足するが、チューニングのズレたギターでコードを弾くと変なウネリみたいなのが聴こえてキタナーイ音になるね。ちゃんとチューニングしてもあのウネリがひどい場合に”オクターブが合ってない”となる訳だ。弦を押さえる事によって生じる音程の狂いを修整するのだよ。

 話しを戻すが、12Fの音程が合っていてもそれで終了ではない。他のポジションが合ってるとは限らないからね。というか、まず合ってない。ギターの精度はそんなに高くない。もちろん弦も。そして弦を押さえる力もポジションによって変化するだろう。そういったトコロを計算にいれて自分にとって一番の妥協ポイントを探す。ここまでやるのが本当の意味でのオクターブチューニングだと思う。

c0179274_1292684.jpg


 さーて、さんざんエラそうな事を言ってしまったが、見合う内容になるかどうか。ここで、いつも僕がやっているオクターブチューニングの方法を紹介しよう。まず最初の画像はオクターブチューニングの基本概念だ。ギターは半音刻みで音階が変わっていく。これをクロマチック(半音階)という。こういうトコロの音程を測るにはやはりクロマチックチューナーが便利。因みに弦は新しいもの、ネックの反り、ナット、サドルの高さ、弦高は適正だという前提で話しを進めたい。画像はクリックすると全体が見れる。

 始めにチューナーを使って開放弦でチューニングしよう。合ったら次は各弦1本づつ12Fを押さえて音程のズレをチェック。サドルを前後させて調整。と、ここでひとつ確認。誤差がサドルの調整範囲内では修整出来なかったりしてないかな? そういう場合はセッティングそのものに問題を抱えてる事になるので、何がイケナイのか判らない時はプロに任せるのが無難だ。原因となる要素が多過ぎるのだ。

c0179274_1291950.jpg


 そして基本調整が済んだら次はチューナーを頼らず耳で判断していく。画像の赤文字は開放の音程、青は弦を押さえた音程、緑はハーモニクスでの音程だ。5弦開放のAだけはチューナーで確認する。
 例として、まず5弦5FのハーモニクスA音と4弦7FのハーモニクスA音を鳴らしてみよう。普通の開放よりも安定しているし、隣り合った弦との音程差が正確か耳で確認出来る。ここであまりに違うようなら、その弦とはオサラバした方が良い。

 次に今度は5弦5FのDと4弦開放のDを比べてみよう。5弦5FのDの方がビミョーに高くないかな?。押さえる力にもよるのだが、実際高めになる事が多い。こういう場合、僕は12Fよりも5Fの音程を優先する。使用頻度でいえば当然5Fだからだ。サドルを移動させて、これで4弦に対する5弦の微調整が出来た。
 ならば反対に5弦に対する4弦の微調整も行おう。5弦開放のAと4弦7FのAを比較して必要に応じてサドル位置を修整する。確認の為、5弦5Fと4弦7FでDのパワーコードを弾いてみて、前よりもウネリが減って綺麗な響きになってればOK。歪ませるとよりハッキリ判る筈だ。

 こんな感じで各弦とも隣あわせの弦を中心に開放やオクターブ違い等、あらゆるポジションでチェックと修整をくり返していくと、コードを弾いた時のまとまり感は格段に上がる。下の画像は12F以上のポジションでローコードのフォームを使ったチェックだ。この他にもいろいろ出来るので、皆さんも探していただきたい。

c0179274_1291123.jpg


 ただし、本来は平均律で設計されている楽器を純正律的にチューニングしている部分もあるので、アンサンブル等に問題が生じたらその都度変更修整していくのがよいと思う。そして最後に、これを言ってはホントにお終いだが全てのポジションで正確な音程が得られる事は有り得ない。あくまで妥協ポイントを探すのだ。

 あ〜長かった。読んでる方もご苦労様だよねェ。でも、きっと役にたつと思うよ。トライしてみてね。では。
[PR]
by rune-guitar | 2011-02-03 01:45 | guitar repair | Comments(16)
Commented by shu at 2011-02-13 10:17 x
>そして最後に、これを言ってはホントにお終いだが全てのポジションで正確な音程が得られる事は有り得ない。あくまで妥協ポイントを探すのだ。

はははは、結局、この一文に尽きるよね。
平均律と純正律系音律の間にある矛盾、さらには「純正音程」の論理自体に不可避な矛盾なんて地点まで突き詰めちゃうと、音楽というものの摩訶不思議さが激しく迫ってくるもんね。
ま、ギターにしろピアノにしろ管楽器にしろ、アコースティック楽器って「不完全なもの」なんですよね。
といっても、デジタル技術でもこの「不完全性」は解消出来ないんだけどね。

ところで25・1/4インチスケールって、アーミング←→チョーキング問題での誤差はどうですか?
小生は24・3/4インチ(ギブソン)スケールで勉強させられましたよ。24・3/4はロックナット方式でもシンクロタイプでもダメみたいですね。アーミング←→チョーキング問題などが劇的過ぎます。
スケール設定一つとっても、ギター(楽器)づくりって難しいですねw
Commented by shu at 2011-02-13 10:32 x
あと、キュリオンのシンクロユニットに6点留めバージョンを使ったのも佐藤さんの慧眼ですね。小生は、2点支持バージョンはフロイドローズも含めて「角を矯めて牛を殺してしまう」点でダメだと思っていますからね。チョーキング・複音弾き同時併用に際しての不要な音程落ちのことです。

上半身の骨格や筋力・腕力、手の大きさなどにハンディのある黄色人種には、多分、25か25・1/4ぐらいが適性なのかな?
Commented by rune-guitar at 2011-02-15 00:59
shuさん 
 僕はオクターブチューニングってコードをキレイに鳴らす為の調整と捉えてます。でも世間一般では12フレットの音程を修整するように説明されてますよね。どういう作業かだけを問えば確かに一番判り易いので、ウチのHPでもそれに準じた方法を紹介してます。まずこれを知ってないと他方でいろいろ困りますしね。

 でも実際に僕が仕事でそのように作業をしてるのかというと当然そうではない訳で、5、6弦なんかは12Fなんて無視してます。まず使わないですから。むしろ3Fとか5Fを合わせたいが為にネックの角度からイジったりします(もちろんボルトオンの場合ね)。

 だから不完全でもいいんです。仕方ないですし。でも、やっぱり濁ったパワーコードはヤなんです。あとピッチ狂ったアルペジオとか。このブログ読んで、もう一歩突っ込んだオクターブチューニングにトライする人が増えてくれたらいいなと思います。
Commented by rune-guitar at 2011-02-15 01:33
shuさん Part2
 Curionについてですが、チョーク時に他弦のピッチが落ちる現象は普通くらいだと思います。何が普通かというとストラトな訳ですから答えになってるんでしょうか?

 確かにスケール短いと影響は大でしょうね。ゲージによってはスプリングの本数も2本とかになりそうですし。24.75スケールでトレモロ付きってあまり試した事ないんですが、スプリングの選択が重要なのかな。今、いろいろ出てますからね。カラハムとかESPのとか。因みにESPのはジャーマニーフロイド(シャーラー製)に付いていたスプリングに似てるそうですが、アレ良いですよね、やらかくて。

 あと、日本人の体格を意識するならスケールよりも弦間ピッチの方が気になります。Curionに採用してるユニットは10.8mmピッチですが、本当は10.5が良かったんです。今は製造してないんですね、10.5って。
 その他、6点留め、プレスサドル、スチールブロック、差し込み式アーム。確かにこの辺には拘りました。それであのユニットに落ち着くんですが、出音の良いユニットですよ。
Commented by shu at 2011-02-17 19:11 x
>僕はオクターブチューニングってコードをキレイに鳴らす為の調整と捉えてます。

この辺は追求し出すと特殊なフレッティングや純正律ギターにノメっていくとかでキリがないんですよね。でも、オレは黒人ミュージシャンたちでさえ一目置いたM.ブルームフィールドの音程感覚みたいな方が好きだから、平均律とか絶対音感とか純正音程とかのお題目にはあまり興味ないですけどね。
あと、初心者や音感の悪い人って、フレット楽器であるギターを弾いても「濁ったパワーコード」や「ピッチ狂ったアルペジオ」どころか、フレーズの音程が良くないんですよね。音程感覚と押弦圧力感覚のシンクロが悪いんでしょうかね?一応チューニングが合格ラインでも、実際にフレーズ弾かせてみると何かおかしい。狂っている。ま、そういう人は、タッチがメチャクチャな絵描きさん同様にダメなギタリストだということなんでしょうけどね(笑)

Commented by shu at 2011-02-17 19:12 x
つづき

>スケールよりも弦間ピッチ

これも考えるべき点だよね。当方の結論はまだ保留中ですけど・・・

ただね、星勝さんやCharも言ってたけど、ギターは弦間距離や指板幅より、「肩幅」の一致が美学的に重要なんですよね。楽器とプレーヤーの肩幅のことです。女性にドレッドノートは似合わないでしょ?
日本人(アジア人)の狭い肩幅って楽器デザイン上でも制約らしいですよ。
Commented by rune-guitar at 2011-02-18 21:19
shuさん  

>この辺は追求し出すと特殊なフレッティングや純正律ギターにノメっていくとかでキリがないんですよね。

ホント、そうです。Steve vaiなんか、フレットがグニャって曲がってましたね。難しいところですが、普通の設計の範囲というか、使い勝手とかは普通でありたいかな。 

だれでも普通の感覚で調整やメンテが出来るというのを大事にしたいんです。極端な話、特定の人間でなきゃ調整出来ないギターなんて不便ですからねぇ。

肩幅の話は初めて聞きました。

美学的...。ギター選ぶ時には結構重要かも。
Commented by shu at 2011-02-18 21:48 x
ギターにおける普遍的なものと特殊的なもの

哲学者のヘーゲルは、この世に存在する具体的な諸個物全てが普遍性と特殊性によって統一されていることを喝破し、「具体的な個別とは特殊と普遍の統一である」と定式化したけど、楽器のデザインもこの観点は重要だと思うんですよね。佐藤さんという具体的個別存在が、ギタービルダーとしての(他にも男性としての、日本人としての・・・・etc)特殊性と共に「人間」や「生物」等々の上位範疇としての普遍性によって統一されているようなことです。
そして、バイオリンビルダーはみんな例の「お馴染みの形」に楽器を創り上げますから、エレキギタービルダーもどういう形に楽器の正当性や必然性があるのかを熟考しなければならない。
スタインバーガーも正しく評価され、正しく非難されなければならないハズです。特殊性と普遍性の統一の観点からです。

ここが日本人や最近の中国人など「追いつけ型」民族は弱いようですね。
普遍性の尊重と特殊性の妄信を区別出来ず、物真似と独善の両極の間で振動し続けている。

Commented by shu at 2011-02-18 21:48 x
ギターデザインの世界でも、日本人に21世紀の新しいスタンダードを産み出して欲しいですね。
ストラトやレスポールを超えて、ヴァイオリンの形のようになれるデザインを。
Commented by rune-guitar at 2011-02-20 13:13
shuさん  

 新しいスタンダード。どんなカタチになるんでしょうか。 僕はあんまりヴァイオリンには詳しくないし哲学的な事もさっぱりですが、いつか誰かがそういう物を産み出す日が来るでしょうね。楽しみです。

 哲学とか勉強されてるんですね。お幾つなんでしょうか?。僕は今年で46になります。この歳でこの文章力ですから、オツムの程度がしれてしまいますね。最近、若い人達は頭いいなあなんてよく思います。スマートというか、無駄が無い。僕なんか何事も遠回りです。

 あと、ひとつお願いがあるのですが、いただいたコメントの中に、他者に対する見解を述べてらっしゃるところがあります。意図したものでない事は承知してますが、一部については不快に感じる方もいらっしゃるかもしれません。こんなささやかなブログですが、一応、不特定多数(いや少数?)の方が見てらっしゃいますので、より配慮していただけたらと思います。ご理解の程、よろしくお願いします。
Commented by shu at 2011-02-21 09:17 x
フェンダーデザインの優位性、先進性、止揚性

ついでだからこの際書かせてもらいますけど、テレやストラトを世に送り出した50年当時のフェンダー社は、ギブソン社に比べて楽器メーカーとしての歴史が無いことがかえって幸いし、多くの点で製品開発上の強みにもなったことは知られていますよね。
ボルトオンネックジョイントやクローシャンヘッドの採用、ピックガードに予めアッセンブリー化された電装システム、コンターカットやボディー裏ザグリを伴うシンクロユニットの導入etc、etc・・・・・
これらは、楽器メーカーとしての歴史や実績のあるギブソン社にはけっして成し得なかったことだと思います。
そう、ギブソン社は、座って演奏するアコースティック楽器の伝統工芸的製造という、楽器世界の通念に囚われていたがフェンダー社は自由だった。

しかし、このことは楽器デザインのもっとベーシックな部分にも現れているように思います。
例えば、立ち演奏に不可欠な楽器重量バランスを「ホーン」とそこへのストラップピンの設置によって確保したことや軽量性への配慮。
Commented by shu at 2011-02-21 09:32 x
続・フェンダーデザインの優位性、先進性、止揚性

レスポール系列のギブソンギターが、重量やそのバランス(つまりはプレーアビリティー)の点でフェンダーギターに劣ることは、既に議論の余地も無いことと思います。
あの原因は、50年代までのJazzミュージックや当時のレスポール氏の演奏スタイルを色濃く反映したものでしょう。

しかし、レオ・フェンダーは、コンボスタイルの演奏形態やカントリーミュージックへの視野ももっていた。レオにとっては、偶然エンドーサーになったバディー・メリルのような存在はけっしてメインターゲットではなかったのだと思います。

しかしこの慧眼(「僥倖」???)は、実はもっと劇的な差異をギブソン製品との間にもたらしました。

それは、楽器進化の系統樹における「幹」や「主流」の争いに深くかかわる事です。
Commented by shu at 2011-02-21 19:15 x
朝から酔っぱらって変なこと書き込んじゃってスマソ m(_ _)m

言いたいことは一言。

否定せよ!
スピノザだかが抉ったように、「否定は規定」である!
創造は、現状否定する精神の賜である、ということ。

いつのまにかロック界やエレキ楽器業界が、恐ろしいほど保守化し創造性を枯渇させている!
スタインバーガーの試みも「アダ花」として消え去ろうとしているのが現在の楽器界、音楽界ではないか!

ということですw
Commented by rune-guitar at 2011-02-24 00:04
保守化。僕も業界人ですから耳が痛いです。でも現実そういうところはありますね。
いつからかは判りませんが、僕が小売店にいた時から既に感じてましたから相当前でしょう。

バブルの反動がきっかけだろうとは思います。どこまで落ちるのか判らない故、守りに入ってしまう。少子化や格差は進み、楽器人口が減っていくのは目に見えている中、どうやって会社を維持していくか。サバイバル状態ですね。

お判りだとは思いますが、今はどこの企業も別にあぐらかいてる訳じゃないですよね。一所懸命打つべき手を模索してます。だけどちょっと体力が無いんですね。ここでコケたら終わりみたいな...。

なんて、ウチだって人事じゃないな。製作やっても売れなきゃマイナス。その時間をリペアに充てればプラス。これはすごいストレスです。
Commented by shu at 2011-02-24 20:26 x
表面的、現象的な言い方だけど、製作は一応は創造だけど、リペアは保守だよね。
ま、どんな創造も模倣を母としてるんだから既成態の模倣でもある保守は全面的に拒絶することは出来ないんだけど。

でも、やっぱり創造的な製作は忘れて欲しくないよね。例え儲からなくても(あの、画家のゴッホでさえ、生前には作品が1枚しか売れなかったなんてこともある)

話し違うけど、、YAMAHAっていう会社はバカに出来ないよね。日本人エレキギタリストとしての寺内たけしや国産エレキとしてのブルージーンカスタムがある種の歴史的規範性を獲得しているように。

http://jp.yamaha.com/products/musical-instruments/guitars-basses/el-guitars/rgxa2/?mode=model

渡辺香津美やCharが(もちろんB'zの松本や春畑たちも含めて)束になって挑んでも、YAMAHA、寺内、BJカスタムには永久に勝てないみたいよwwww(ガイジンの評価です)
Commented by rune-guitar at 2011-02-25 21:44
ヤマハは古いアコースティックをよく手掛けますが、マーチンともギブソンとも違った独創性を感じますね。音に主張あるし。

そういえば初めて買ったギターがヤマハのFGでした。