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Rune guitar

runeguitar.exblog.jp

ギターリペアマンの視点から、仕組みやパーツなどにまつわる話しを綴っています。

ハイパスフィルター

 サーキット関連の修理には、機能を追加する或は変更する等のいわゆる”改造”もある。最もポピュラーなのはP.U交換だが、これは元々のP.Uによっては非常に効果のある改造になる。変化も判り易いしね。

 まあ、たまに好みに合う合わないで痛い目を見ることもあるけど、こればっかりはやってみるしかないのだよ。僕らリペアマンも全てのP.Uを知っている訳ではないし、知ってるP.Uだったとしても音を言葉で表現するのはかなり難しい。

 例えば”硬い音”。この音のイメージは人それぞれかなり異なるんじゃないだろうか?。ハイがきつい音、輪郭のハッキリしてる音、アタックの強い音、パンチのある音などなど、どれも似てるようで微妙に違うような・・・・。

 伝えた側と受け取る側が同じ音をイメージ出来るかは、なにかしら他に共有してる物があるかどうかでかなり差が出ると思う。僕はこういう感覚を”波長”と言っている。脳ミソの”波長が近い”とか”波長が似ている”とかね。


 しかし、もっと地味な改造の場合、パーツの選択を任されてしまう事もある。ポットのカーブや抵抗値ならある程度の推奨もあるし、SWなんかも定番的なヤツがある。だが、コンデンサーに至ってはもう無理。変化地味過ぎ!。
 容量はP.Uによってだいたい決まっちゃうから良しとして、問題は種類だ。大抵セラミックかオイルかってトコだが、オイルにも色々あるしそこにヴィンテージとか入って来ちゃうともうお手上げ。
 個人的にはあんまり劇的な効果は無いと思ってるので、巷のウワサで交換してみようかというお客さまには正直にそう話している。判る人は判るらしいんだけどね。

 で、そのコンデンサー。トーンコントロールの他に、ボリュームを絞った時の音のこもりをフォローする為に使われる事がある。これがハイパスフィルターというヤツで、普通はボリュームポットの2番3番端子に股がるように取り付けられている。

 具体的に何をしてるかというと、音の高域成分だけが通る抜け道を作ってるのだ。どのくらいの高域かはコンデンサーの容量で決まる。定番の数値は0.001μF(1000pF 本体に102と表記されてる)で、まあ確かにちょうどよい場合が多い。適当な辺りで効いてるのが手応えとして感じられる。

 しかし、最近ではこの容量をいろいろ変えて自分にとって(そのギターにとって)ちょうど良い値にすることも多くなって来た。さあて厄介だ。ハイパスに使える値はおよそ180pF〜3300pFくらいではなかろうか?。適当な辺りをピックアップしたとしても10個くらいのコンデンサーを試す事になる。加えて、ボリューム0からの立ち上がりをスムーズにする為に固定抵抗も一緒に繋ぐので、こちらの値も決めなければならない。いちいち繋ぎ変えてたらエラい事になる。

 だからこんなのを作ったりする訳さ。

ハイパスフィルター_c0179274_0551732.jpg


 サーキットを開ける前にある程度の絞り込みが出来るように、SWで組み合わせを切り替えられるようにした。エフェクターみたいにギターとアンプの間に挟んで使うので、実際のポットの抵抗値が変わってしまうけど、おおよその見当は付く。テーパーの具合もね。

ハイパスフィルター_c0179274_113882.jpg


 結構いろいろ使えるようになってる。ハイパスボリュームにも単独のハイパスコントロールにもなるし、コンデンサーと固定抵抗の組み合わせは...え〜っと..いっぱいある。ポットの抵抗値も一応選べるし、固定抵抗の代わりに可変抵抗を使う事も出来る。もちろんバイパスも出来るで。コンデンサーは4700pFと0.01μFはやめて180pFと1500pFに変える予定。


 有るモンで作ったからすごいポンコツな見てくれだけど、割とよく働く。いつかもっとカッコ良く作りなおしてやろう。


ああ、この前置きの長さが自分でイヤ。消さないけど。
by rune-guitar | 2013-01-12 01:25 | guitar repair

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