これからギターを始める人にちょっと役立つかもしれない話 その3
僕が楽器店に勤めてた頃、初心者の方向けのセット販売用として必要な小物類をまとめたパックがあった。◯点セットとかそんな感じの。
中身はシールド、ストラップ、ピック、クロス、チューナー...あとなんだったっけな。ま、どれも”まず最初に揃ってないとちょっと不便”みたいな物だ。
これらはやはり一つ一つ良い物気に入った物を選んだ方が良いのだけど、その中で一つ。
チューナーのほかに音叉があると良いよ。
今時って音叉でチューニングする人少ないのかもしれないけど、ギターってちょっと変な楽器で、チューニングが特殊なのだ。ピアノ等の鍵盤楽器ともヴァイオリンやチェロ等の弓弦楽器ともちょっと違う。フレットを持つ弦楽器は全て皆、この問題(?)を抱えているのだよ。
そもそもチューニングには”純正律”と”平均律”の2種類がある。本当はもっとあるらしいが、くわしい事はwikiってもらうとして、大きな違いは和音の綺麗さというか揺れの無さ。純正律はこの揺れが非常に少ないのだ。
簡単に適当に説明すると、純正律は基準の音に対してぴったり調和する音程ばっかり使っている。例えばドに対するミやソはそこらへんにあるミやソとはちと違う、ちゃんとキレイにハモるミやソなのだ。ただ、その厳選された各音程のお陰で基準音(調:キー)が変わるとメタメタになってしまうのだが。
対する平均律はその問題を解決すべく、ハモリの綺麗さはそれなりだがどんな調でもこなせるようにどの音程も純正律とは微妙にちょっとずつズレている。というか何処から見ても等間隔みたいな風になってるのだ。前述のピアノ等は特殊な場合を除いてこの平均律でチューニングされている。
ではヴァイオリンなんかはどうかというと、ギターと違ってフレットが無いので音程は全て演奏者次第。純正律の演奏はもちろん平均律だって半音の半音だって出せてしまう。声も同じだね。
じゃギターや他のフレッテッド楽器は?。そう基本的には平均律だ。フレットの間隔は平均律で配置されている。どんなキーでも使えないと困るからね。実際コードを引いた時にワンワンワン...という揺れが出てるのがわかるかな? それってチューナーでバッチリ合わせた状態でも多少は出てしまう。それが平均律だから。
しかし、ギターにはオクターブ調整というのがある。弦を抑えた時に生じるチューニングの僅かなズレを修整するものだが、この調整しだいでは、揺れを減らす事も出来ちゃうのだよ。もちろんどのキーにも対応する訳ではないが、バンド音楽で使うキーなんてそんなに多くないから結構有効だ。
更に開放弦の音程だってある程度変えられる。アンサンブルによっては、ローコードを引いた時にうねらない様に開放のチューニングをイジルのは有りなのだ。
それには耳が鍛えられてないとイカンって訳で音叉の出番。日頃からチューナーに頼らず耳でチューニングしてると、この音揺れ凄く気になってくる。チューニングに対してシビアになってくる。すると、演奏にも変化が現れるのだよ。
少なくともチューニングにシビアになった時点でちょっとレベル上がるよ。ディストーションサウンドもスッキリするので、自分のプレイがイケてるのかイケてないのかもよ〜く判るし。
ね。それには音叉。これ一本持っとこう。電池使わないからエコだし。違うか。いや違くない。