ストラトキャスターって?
彼はコージーパウエルが大好きだったので、ずっとレインボウなんかを演ってたらしい。で、まあ文化祭でバンドやれるとなってメンバー探しの末に一番手頃な位置にいた僕を引きずり込んだのだが、それが僕とエレキの出会いになり、以降もう既に人生の2/3を共に過ごし、ついには自分のブランドで自分の思い描くギターを作ってしまうまでにに至るとは本人もクリビツテンギョウである。
そして、その初めて真面目に聴いたエレキギターの音こそリッチーブラックモア大先生のストラトサウンドだったのだ。ん〜、一般に言われるストラトサウンドとはかなり違うが仕方ない。故に僕のストラト観は標準よりややズレているが、物事は一方向から見てはイケナイという言い訳の元、僕なりのストラト論を展開してみたいと思う。”いやそれは違う!”とか出てくると思うが、いわゆるうんちくとは違う話を心がけよう。そんなもんはwikiはじめいろんなサイトにた〜くさん書いてあるだろうから。

さて、僕にとってのストラトの最大の魅力はその”抱えたときのバランス”だ。若い方にはピンとこないだろうが、現在売られている多くのギターはストラトを祖先とした亜種のようなもの。80年代半ばに流行った改造ストラトの流れを汲んでいるカスタムギターだ。そしてその子孫達が伝統のように受け継いでいるのが左右非対称のダブルカッタウェイ。6弦側の角(ホーン)を長くする事で座って弾く時と立って弾く時のボディーの位置があまり変わらないようになっている。レスポールはこれがあまりにも違うのだ。
このデザインを思いついたレオは凄いよ(ダチ?)。いやホントに彼が考案したのかは知らないけど、これのおかげであのストラップで下げた時の絶妙な位置関係が出来上がった訳で、おそらく誰しもが
”オ〜、トッテモヒキヤスイネ〜”
と言ったに違いない。
そしてもう一つ、シンクロナイズドトレモロユニット。

現在のフロイドローズやウィルキンソンも、このシンクロトレモロが無かったら世に出ていたか分からない、いやたぶん無かったとさえ思う。それくらいこのユニットはとてつもないのだ。なんたってブリッジがボディーを貫通してる上に、更に裏からバネで引っぱるという有り得ない造りなのだから。

ジミヘンウリジョンインギーそしてリッチー終いにゃ初期のエディーまでアーミングの名演はこのユニット無しには語れないのだ。チューニングの狂いもなんのその。直しゃいいじゃん的な負担の無さが良い。
この他、電装系サーキットを1枚の板(54年当時はベークライト)にまとめてベタッとネジ止めとか、

ネックもガガッとネジ止めとか、ストラトにはまあおおよそ楽器作る気持ちは無かったろう?的なアイデアが満載なのだ。
まだあるぞ。ネックはメイプル材の1ピース。ヘッドアングルも無い。当時ギターのネックはマホガニーが当たり前で、その上にエボニーやローズウッドの指板を貼り、そこに打つべきフレットを彼はメイプルネックに直接打ち込んじゃった。結果オーライ。な〜んも問題無し。むしろ倒しても折れない、収縮差で反ったりしないタフなネックが登場した訳だ。
オマケに塗装は車用の塗料。あくまで効率重視。色は豊富にあるし、品質は実証済み。なんたってキャデラックとお揃いのギターなんてカッコいいではないか。おそらく誰しもが
”オ〜、トッテモカッコイイネ〜”
と言ったに違いない。
なんだか褒めてるんだか貶してるんだか判りにくいが、けなすなんてとんでもない。僕はストラトが大好きなのだ。あんまり好きだと欠点も好きになってしまうが、次回はこの欠点について..というか、チューンアップやセッティングなんかについて話してみたいと思う。
あ〜、もっと短く話せたらと常々思うわ。