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Rune guitar

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ギターリペアマンの視点から、仕組みやパーツなどにまつわる話しを綴っています。

ストラトのセットアップ まとめ その2 完結編

 いよいよ、やっと、ようやく、ついに?本当の調整作業に入ろう。今まで予備知識的な事柄をダラダラと述べてきたので、どうかそれらが役立って欲しいところである。
 前回はどこまで話したかって言うと、まずはチューニング、そして弦高を測り、不具合の有無などをチェックして現状を把握するというトコロまで。このへんは然程難しくはないのでつまずく事もないだろう。だが、次に行う ”ネックの状態の見極め” は少々コツというか正しい見方のようなものがある。画像や詳しい解説はコチラをご覧いただきたい。
http://www.runeguitar.com/SELFMAINTENANCE/nextukuie.html
このネックの状態次第で、先ほど計測した弦高の意味が変わってくる事もある。故に弦高を測る前にネックの反りを見る人もいらっしゃるが、それはそれで間違いではない。順番はどちらが先でもOKだ。ただ僕の場合は、最初に現状の数値を頭に入れてからネックを見る事が多い。これは先にネックを見てしまうと、つい弦高を測る前にロッドを調整しちゃうから。これでは預り品のカルテを作る時に困ってしまうので、弦高はまっ先に測るようにしたのである。

 でもって、リンク先の画像は見れたであろうか?。一応参考までに1枚くらいは貼っとこう。ストラトじゃないけど、お許しあれ。

ストラトのセットアップ まとめ その2 完結編_c0179274_054727.jpg


 このようにネックの反りは必ず指板に映る弦の影を見る。指板のエッジは殆どアテにならない。そしてブリッジ側とナット側2方向からチェック。その他いろいろやってチェック。そのくらいやると、反っているかどうかと言うよりは ”どのように変形しているのか” という捉え方が出来るようになる。

 反りがあるようならロッドを調節して反りを修整する。ヴィンテージスタイルのストラトをお持ちの方はネックを外す事になるので、ちょっと大変だが頑張ろう。
以下、リンク先の内容をざっと。
 使用工具は、アジャストナットがネックエンドなら大きめのマイナスドライバー。プラスでもOKのモデルは多いがマイナスの方が無難。ヘッド側なら、フェンダージャパンは4mm、フェンダーUSAは1/8”の6角レンチを使用する(ブランドによって、稀にネックエンドでも6角レンチを使用するモデルもある)。新品で購入したのなら付属品の中に調整用の工具がある筈だ。
 回す方向は、順反りなら時計回り。逆反りなら反対に回す。注意する点は、チカラ技は厳禁。回らなかったら反対に回してみる。無理そうだと感じたらやめる。
 実際の作業についてはリンク先の解説が参考になればよいのだが、自信が無かったらとりあえずパスしてもいいと思う。次以降の作業をやってみてそれだけでも良い結果が出ればそれは良しだ。


 ネックの状態がベストになったら再び弦高を測る。元が順反ってたのなら弦高は下がり、逆反っていたのであれば弦高は上がってる筈だ。新品で購入して以来一度もサドルをイジった事がなければ、これが買った当初の状態とも言える。もし違うとするとそれは弦のゲージを変えた場合だ。

ストラトのセットアップ まとめ その2 完結編_c0179274_0482233.jpg


 ストラトは工場出荷時では大抵ブリッジがフローティングでセットされている。(画像がちょっと切れてしまってフローティングっぽさがよくワカラナくて申し訳ない)
 弦のゲージを変更すれば当然張力のバランスが変わり、ブリッジの傾き加減が変わってしまう。傾斜が強くなるとサドルの位置も上がり、結果弦高が高くなってしまう。逆にベタ付けに近くなると弦高は低くなる。つまり、弦高の設定をするにはまずブリッジの定位置を決めなくてはならないのだ。この辺の話しが前々回ね。
 て、事で次はブリッジの調整。コチラ。
http://www.runeguitar.com/SELFMAINTENANCE/toremoroyunixtut.html ちなみに現状に不満が無いのならこの工程はパスして構わないが、アームを使わないのにフローティングになっているなら、悪い事は言わないからベタ付けに設定し直した方がいい。
 フローティングで使いたい方は、どのくらいアップさせたいかを考えて作業しよう。目安は3弦の開放G音を1音アップ出来るくらいが一般的。ちょっとオーバー気味にするのがコツ。

 ここまで、うまくいってるだろうか。

 あともう少し。調整らしい作業としては、ロッドとブリッジのスプリングをイジッただけなのだが、それでもこれだけの事を踏まえてやっている訳で、プロの作業はただネジ回してる訳じゃないのだ。ちゃんと着地点目指してやっているのである。それは楽器であるからには演奏性の向上であって、その一番はやっぱ弦高であろう。僕もテクニカル派のギタリスト大好き人間なので、自身のセッティングも弦高は低めにしてた時期があった。
 しかし、フェンダーの伝統とも言える半径7.25インチの指板Rを持つギターは下げられる高さに限界がある。1弦12Fでおよそ1.6mmくらいが底だ。これをもっと下げるには指板Rをもっとフラットにしなくてはならないが、その辺の話しが前々前回ね。この話しはもはや調整の域を超えるので、コチラ(http://www.runeguitar.com/R%26R/furextutoaaaaewi.html)を参照されたし。

 今回はあくまで調整、セットアップの話しなので、無理なものは無理、そう取捨選択。弦高は1.6mmでガマンするっ!。
 6弦はチョーキングする事もないので、オクターブ重視の低めの1.8mmくらいまで許容範囲にしたいが、これだとピッキングが強い人はビビるだろう。2.2mmくらいまで上げてもよいのだが、当然オクターブのシャープ率も上がる。自分の音楽性を考えて、チューニングの為に弾き方を変えるか、音質の為に多少の音程のズレは良しとするか、これも取捨選択だ。ギターのセッティングに於いて全てがバッチリまとまる事は無いのだ。(あ、言っちゃった...)
 実際の作業はコチラ(http://www.runeguitar.com/SELFMAINTENANCE/acc.html)



 さあ、いよいよ大詰め。オクターブチューニングの調整だ。
http://www.runeguitar.com/SELFMAINTENANCE/okutaa[buie.html)僕がストラトをセットする時に一番気にかけるのはこのオクターブチューニング。これを無視して他を語ってもなんの価値も無い...と思うくらい気になってしまう。特に6弦3フレットのG。ココがシャープするのがヒジョーに嫌なのだ。それとか6弦5FルートのハイコードのAを押さえた時の3弦C#。それと5弦7FルートのEのハイコードの2弦G#とか。ま、ギターは平均率故にこの辺りはストラトに限らずキレイには合わない事は百も承知。だが敢えてそれをどこまで攻め込めるかってトコロに執着しちゃったりもする訳だ。やっぱコードがキレイに鳴ると全体のレスポンスが上がった感じするしね。関連記事としてコチラもどうぞ(http://runeguitar.exblog.jp/15860582

 しかし、この調整にはいくつかハードルがある。ただその弦のサドル位置を動かしてもダメだったりするのだよ。特にストラトは。
 だもんで、このブリッジサドルの調整可能範囲をちょうど良いトコロに持って来つつ、その他の演奏性に関わる部分を決めていくように心がけてる訳さ。

 その一番要となるのが、6弦のサドルの高さである。ここは出来るだけ下げたい。ここは上げるに従ってオクターブチューニングがシャープしていく傾向を持つ為、6弦のローポジションでの音程に多大な影響を及ぼすのだ。この理由を述べると話しが更に長くなるだけでなく、どっか違う方に飛んでいっちゃったりするのでガマンするが、ともかくその為にネックの角度をイジル事さえあるとだけ言っておこう。これが何故か判ったらもうバッチリである。とことん突き詰めて欲しい。そこまで無理!という方は6弦のオクターブについてはローポジションだけ無視してください。僕も実際ここは設計上、調整という枠内では無理なのかもしれないと思ってます。


 以上、一連の作業終了。やってる事自体は難しくないでしょ?。難しいのは兼ね合いとかバランスをとるコトなんだよね。どこそこを優先する為にはどこが犠牲になるのか。それはどの程度まで許容出来るのかなんて事を、塩梅を見つつセットしていく。しばらく使ってみてまた見直すなんて事もあると思うので、これは慣れてしまうのが良い。気になるトコロをチョコチョコいじっているうちに自分にとってのベストなセットアップが出来上がる。そしてそれが ”何故そういうセッティングになっているのか” が理解出来ていれば、もう恐いもの無しだ。


 さてさて、ようやく完結したかなぁ。あとはP.Uの高さ調整とかあるけど、これはアンプ通して各ポジションの音量差みながら高さ調整すれば良い(http://www.runeguitar.com/SELFMAINTENANCE/p.unoccsaie.html)演奏性とはそんなに関係無いから今回はパスしよう。


今回も長かったな〜。つぎはギタ−と関係無い話ししたいかな。
by Rune-guitar | 2014-04-09 01:11 | guitar repair

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