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Rune guitar

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ギターリペアと日々のコト・・・

ノイズ処理

 エレキギターの回路は結構単純な造りしてます。なんたって70年前から大して変わってないですから。
もちろん新しい物もいろいろ出てきていますが、未だに広く世に出ているのは電源を必要としないパッシブという回路。
 極端な話し、ピックアップからのシグナルが流れているラインは1本だけ。すごく単純。

 そこにピックアップを増やしたり、切り替えるスイッチを付けたり、ボリュームやトーンを付けたりして一般的なギターの回路は出来ています。そんな単純なエレキの回路から出るノイズなんて本来たかが知れているのですが、実際アンプからはジーとノイズが出ます。
あれは一体何なのか?。

それは外部から入りこんでくる、文字通り外来ノイズというヤツです。

 外来ノイズの多くは蛍光灯やパソコンなどから発生するハムノイズというものです。ボリュームを絞れば消えますが、逆に演奏中は出ています。聞こえてないだけなので、パートを分けて録音すると気になる事も多々。そういう時の対策としてノイズ処理というのがあります。

ノイズ処理_c0179274_22455711.jpg

 ギターの中を見ると、なにやらツヤ消しブラックみたいな塗料が塗られている事があります。画像はストラトのピックガードやハードウェアを外した所。この黒いのは電気の流れる塗料で導電塗料と呼ばれるもの。
 成分はカーボン。鉛筆の芯とかね。カーボンは電気がよく流れるので、電源タップのそばにシャーペンの芯とかとても危ないシチュエーション。

ノイズ処理_c0179274_00470750.jpg
 で、外来ノイズは電気の流れる所に乗っかってくるので、キャビティーに導電塗料を塗ってアースに繋いでやると、ハムノイズが根こそぎ流れ落ちて内部に入って来なくなる。画像のネジ止めされてるラグから線が出てるの分るでしょうか。これをポットの裏とかに繋ぐとアースに流れます。繋がないと、せっかく塗った塗料がただのノイズ拾いになるので必ず繋ぎます。
 これをシールドとかシールディングといって、ギターとアンプを繋ぐシールドも正確にはシールドケーブル、シールドコードといいます。(なんでわざわざシールドと付けるかというと、スピーカーケーブルはシールディングされてない2芯ケーブルを使うから。ここはキチンと使い分けます。)

 その導電塗料。ジャックキャビティーには塗っていない事が多いです。これはジャックが緩んでガタつくと、キャビティーとホット端子が接触する可能性があるから。ライブ中に音が途切れるとか最悪の事態を避ける為です。
 しかしこのジャック部分て結構ノイズが乗りやすい構造なので、僕はジャックキャビティーも塗ってます。実際かなり違う。
ただしそれなりの対策をしておかないと先の最悪の事態になるので、ジャックにテーピングしたりしてます。

ノイズ処理_c0179274_22402328.jpg

 画像の上側の端子がそれ。(下のはプラグのガタによる接触不良を軽減させる為に使ってるのでテーピングは無し。)この線は金属の網で覆われているシールド線だけど、端子の接触部分はどうしてもシールドが無い状態になるので外来ノイズが入りこみやすいです。なのでここのキャビティーをシールディングする効果は大きいんです。

 今回はノイズ対策の話でした。最後に、導電塗料を塗ると音が痩せるとかよく言われてますが、事実音はスッキリします。纏っていたノイズが無くなる分だけ細くなったように聞こえますし、高域成分が若干ロスするので音が変わるのはあります。
なのでどんな方にもおすすめする物ではありませんが、メリットもかなり大きいのでそこらへんをよく天秤にかけて検討していただければと思います。

それでは。

by Rune-guitar | 2023-04-21 08:00 | guitar repair