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Rune guitar

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ギターリペアマンの視点から、仕組みやパーツなどにまつわる話しを綴っています。

ボリュームポット

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 前回のレバースイッチに続いて、今回はボリュームポットの話しを少々。

 ポット。この呼び名はよく "ポッド" と間違われる事が多いが、ポテンショメーター(potentiometer)の略なので、ポッドではなくポットが正解。
日本語では可変抵抗器と呼ばれるけど、抵抗とは電気を流す量を制限するもので、その値が変えられる事から可変抵抗な訳です。まあ具体的な構造は次回やるとして、今回はどんな種類があるのかを紹介してみましょう。
 皆さんが迷うのはおそらく交換の際にどれを買えばよいかだと思うので、メーカーやサイズ、抵抗値などの説明をしていこう。

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 ポットを選ぶのに必要な情報は、各部のサイズと形状および抵抗値。サイズはケースの大きさもあるけど、これは24パイか16パイの2つしか無い。むしろ取り付ける際に注意が必要なのはネジ部やシャフトの方だったり。
 よく耳にするインチサイズ、ミリサイズ。実際のところこれが一番厄介なのではないかと思う。

 なぜこれが厄介かと言えば、実際には誤差とかそういうレベルではなくそもそも別の物と言っていいくらい違うものを、インチとかミリとかなんだか見ても判らなそうな微妙に違うような言い方するから迷うのだ。

 インチとはアメリカで使われている単位で、1インチは約25.4mm。メーカーで言うと有名なのはCTSやBOURNSなど。この2社はどちらもほぼ同じサイズなので、ひっくるめてインチサイズと呼んでいる。本来は分数での表記になるが、覚えにくいのでここではなるべくミリ表記する。
 一方ミリは国産メーカーやアメリカ以外のメーカーで使われてる単位だが、パーツの知名度やグレード的にアメリカ以外のメーカーでもポットにはCTSやBOURNSを使ってたりするので、ギターのブランドでは判別出来ないと思ってた方がよい。
 一番間違いないのは実測だが、見た目で分からなくもないので画像参照してください。
 
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 横から見ると差がわかりやすいかも。こんな感じ。因みに書き出しから2枚目のポットが2つ写ってる画像では、左側のが大きいけどネジ部はミリ仕様のM8で、右の小さい方は3/8インチ約9.5mmとなってる。
 まとめるとギターで使われるネジ部の太さは、ミリ仕様のM7(7mm)、M8(8mm)とインチ仕様の3/8”(約9.5mm)。ほぼこの3種類と思っていい。
 当然ながら取り付け穴と異なるポットを使いたい場合は、穴を広げたり各種アダプターを使うなどして対応する事になる。こういうヤツ→MONTREUX ( モントルー ) / Pot Adaptor 8mm-3/8"(4)[9163]

 あとはネジ部の長さもあるけど、これはギターによってチョイスされているので、外してから測ってみてね。画像はレスポールなどに使われてるロングシャフト。
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ミリ仕様に長さの種類はあまり無いが、CTSは3〜4種類ある。普通は9.5mmだけどもっと短いのとか、1/2インチ(約12.7mm)なんかもあるにはある。


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 次はノブを差し込むシャフトの形。ココが変わってしまうとノブの種類によっては取り付けられなくなるので、注意が必要。
 ここもインチだミリだ言われてるが、よく勘違いされてるのはミリは6mm径でインチは1/4インチ6.35mmというもの。これ間違いではないのだけど、このギザギザが付いてるタイプはスプリットシャフトといって、径はインチもミリもほぼ同じ6mm。
違いはローレット(ギザギザ)の数で、ティース(teeth)という単位で呼びます。
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最近のフェンダー系プラスチックノブはもう兼用になってるからこの違いに問題は無い。マズいのはギブソン系のアクリルノブだ。成型の段階でノブの穴にギザギザが刻まれてるので、これが異なると挿し込めなかったり最悪割れたりする事も。
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 小さくて見えみくいかもしれないが、元のアクリルノブを使いたい場合はここに気をつけよう。18teethのポットからCTSなど24teethのポットに交換するのなら、ノブも新調しないとダメ。もしくはCTSポットでミリ用M8の18TEETHが売ってるので、そちらを選ぶのもアリ。
SCUD ( スカッド ) / CTS-A500MM CTS製ミリサイズ互換ポット
抵抗値250kもあります。

 このようにネジ部の径とシャフトの形で既にこんな状態だが、更に言えばギブソンのポットはこれまた独自のサイズなので、ポットをCTSに交換するとノブが緩くなる。逆にギブソンのポットにインチ用ノブはキツくて付かない事がある。この差はたぶんコンマ1くらいで見てもわからない。ここはもうノブとセットで交換するか、ギブソンパーツで揃えるしかない。

 そしてもう一つ。スプリットシャフトに対してソリッドシャフトというのがある。こちらはローレットも先割れも無いただの丸棒シャフト。
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 コチラは正しく径が6.35mとやや太くなってる。ノブはメタルノブなど横からネジで固定するタイプでないと取り付けられない。メタルノブは取り付け穴が6mmと6.35mmの2種類があるので選ぶ時は穴のサイズをしっかり確認しよう。
 先のアクリルノブ同様、交換時にここの仕様が変わるとやはりノブが合わなくなる事がある。例えば6.35mm穴のノブにスプリットシャフトは細すぎて操作の際にセンターがズレて軸ブレする。また留めネジの位置が適切でないとシャフトを痛めてしまう事もある。
 
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 この辺の対策は便利グッズが販売されてるので、ソリッドからスプリットにする場合はそちらを使う事もおすすめする。
MONTREUX ( モントルー ) / Pot Brass Sleeve (5) [8342]
とか

MONTREUX ( モントルー ) / Pot Spacer for CTS (10)
とか。

もしくはスプリットシャフト用のメタルノブを使うのも手だ。
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ネジ止めではなく差し込み式。ナイロンブッシュのような感じでメタルノブのくせに触れてもアース落ちないけど、逆にメタルノブ特有のチリチリノイズも出ない。



 とりあえずポット交換に関するポイントをざっと挙げてみたつもりが、なんかノブの話しになってるし。

ちょっと長くなったので一旦終了します。

 次回は抵抗値と内部の構造についてやってみる予定。

by Rune-guitar | 2023-05-10 01:19 | guitar repair

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