
純正律と平均律。これって学校で習ってるとしたらいつだったんだろうか? 正直小学校の頃から音楽の成績は良くなくて、中3でギターを始めてから独学で覚えてきた事の方が断然多い。最初はアドリブとか出来たらカッコイイだろうなと思って、高2くらいからスケールとかやり出して。楽典買ったのは20歳過ぎてたかもしれない。
楽典てのは音楽理論の教科書みたいな、なんだか堅苦しい文章で取っ付き辛い本。でもアレって頭から読むもんじゃなくて、わからない所を調べる物。そう考えるようにしてからは逆によく見るようになって、そのわからない事の中の一つがこの純正律と平均律でした。
どちらもドレミファ〜の音律の事なんだけど微妙に違っていて、今一般的なのは平均律の方。もちろんギターは平均律の音律が出るように作られてます。
この2つの違いは一言では説明が難しいので、大まかに順を追って話すと、大昔ある音にもう一つ音を重ねた時にキレイな響きになる組み合わせが見つかった。そのルールは周波数の比率だそうで、例えばA=440Hzを基音とするとE=660Hzは5度の関係になる。比率は2:3。弦の長さで言うと5弦開放Aを1とすると同7フレットのEは2/3に当たる。このシンプルな比率がキレイな響きに必要な要素で、これを積み重ねて出来たのがピタゴラス音律。
この辺の詳しい話しはググってもらうとして、この音律での組み合わせは響きがキレイなのがポイントなんだけど、うまくキレイに響かない組み合わせもある。それを補正発展させて出来たのが純正律という訳。
最近はこの音律に近い響きが得られるフレッティングが施されてるギターも出てきてますね。
しかし、この純正律にも欠点があって、一つの調(キー)にしか対応出来ない。キーCで調律された場合、ドに対してのミとソはキレイだけど、レに対してのファ#とラ、つまりキーDはうまく調和しない。
そこでまた改良を加えて、あらゆるキーに対応出来るようにしたのが平均律。ザックリ言うとどのキーでもちょっとずつズレてるんだけど、わかんないっしょ? ていう感じ。
純正律のような揺れの少ない美しい和音は得られない代わりに、調に縛られない自由を得た訳です。
この全てのキーに対応出来るってのはすごく革命的で、以後ピアノやギターを始め多くの楽器に取り入れられて、今耳にする音楽はほぼ全て平均律で作られてます。
そこで本題。ではギターのチューニングはホントに平均律なのか?
今どきチューニングを耳で合わせる人はどのくらいいるかわからないけど、昔は音叉と耳で合わせるのが普通だった。2本の弦を鳴らしてウネリが無くなる様に合わせるんだけど、これ少なくとも隣り合う弦とかよく使うキーのコードでは部分的に純正律っぽい合わせ方になっていると思われる。ウネリを無くすように合わせるのだから。
反対にチューナーを使ってる場合は開放から全て平均律になっているはず。どの和音もややウネるが、どのキーでも安定した和音になるし、他の楽器(例えばキーボード)等とユニゾンになる場合はこの方が自然だ。
その部分的に純正律に近いチューニング。これは開放のチューニングだけではなく、オクターブピッチの合わせ方でも大きく変わってきます。
そもそもアレはなんで未だに12Fなのか? おそらく昔はチューナーとか無かったから、耳で合わせるのに一番わかり易いように12Fになったってだけじゃないかな。今はクロマチックチューナーというどのポジションでも合わせられるのがあるんだから、低音弦なんかは5Fとかで合わせた方でよいです。だいたいイントネーションピッチが合わせられる範囲ってそんなに広くなくて、太い弦なんかは弦長の1/3くらいの範囲しか合わないです。つまり12Fで合わせたら5Fは合わない。よく使うポジションだけ合ってればOKなんです。
さてさてまた長話しになりましたが、まとめるとギターはチューナーで合わせた時とそれを耳で補正した時とで、平均律なのに純正律っぽい響きにする事も出来る、ある意味ハイブリッドな楽器であるという事。かな?
以前、平均律と純正律をフレット位置に置き換えたらどのくらいの差があるのか調べたら、音程によってはかなりの開きがあった。
それ以来、ギターの精度に関してちょっと寛容になった気がします。
それではまた。