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Rune guitar

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ギターリペアマンの視点から、仕組みやパーツなどにまつわる話しを綴っています。

速弾きピック 最終回

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 前回のピック特集はその後も幾つかモデルを追加してまして、なんだかんだかなりの種類を計測しました。まあ今までサイズを測るというのはやった事無かったし、改めていろんなのを試してみて、数字や画像で比較すると自分の好みはこんなハッキリ決まってたのかと再認識。すごく意外。
 で、自分にとって何がポイントになっているのかちょっと整理してみると、厚みと長さと先端角度の3点が最重要で、素材と形状(外周のライン)がそれに続く。後はオマケというか、ヴィジュアル面で何か一捻りあれば良いものが出来るんじゃないかと。

 という事で、今回は来年(2024年)辺りに発売を予定しているオリジナルピックについて話してみたいと思います。もちろん皆さんにもオススメ出来る品として考えてはいるけれど、全ての人に気に入ってもらえる訳ないのも分かってます。
 ですのであくまで物の考え方として、自分の理想のピックを探すヒントにしていただければと思います。特にギター小僧を経てきた方や、今まさにギター小僧真っ只中の方に届いてくれたら嬉しいです。

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 まず厚みはなんだかんだ安定の1mmなんですが、本来素材の硬さとも絡む厚みは今主流となっているエンプラ(高性能プラスティック)系の素材に於いては、同じ厚みなら硬さにはあまり差が無いと判断しました。サイズも小さいし。逆に着色用の添加剤で微妙に硬さが異なる事もあるそうなので、1.1mm程度まで幅があってもよいのかも。
 要は薄さで弦に負けるのはイヤ。厚過ぎてアタックがポコっとなるのもイヤ。この2点がクリア出来れば必ずしも1.0でなくても良いけど、どうも1.1±0.1くらいがベストらしいという見立てです。

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 次に長さ。これは手の大きさなど人それぞれ弾き方の違いが大きいので、あくまで僕の場合ですが、縦27mmが総合的にベストみたい。単音弾き6割、コード弾き4割くらいのプレイヤーにはちょうど良いと思う(あくまでイメージね)。
 これは単音弾きの時とコード弾きの時などでピックを持つ深さが変わるから。画像でも1mmくらい軽く違うのが判るけど、実際はもっと手を浮かせるとかいろいろな弾き方(持ち方)をするので、小さ過ぎるとこの幅が得られない。長過ぎると邪魔。そんなジレンマが一番少なそうな長さを目指してみました。

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 上の画像は先端角度の比較。ダンロップのJAZZ IIIと重ねてみました。先端が少しズレてるのは長さの違いではなく線が見えるようにしただけです。
 角度というのは少し語弊があるかも。先端のラインはカーブしてるから、角度と言うより開き具合の方が近いのかもしれない。
 昔、雑誌のインタビュー記事でポールギルバート氏が先端の角度を90度に削ってるなんてのを読んだ事があるけど、この90度はいわゆるJAZZ型より鈍角なのでは?。曲線なのでJAZZ型も部分的には90度より広いが、たぶん弦に当てる深さとの兼ね合いでJAZZ型だと食い付き過ぎに感じる事は確かにある。アタック音をしっかり得る為にも先端は尖ってて欲しいが、食い付きがキツくて弦から離れるのに余計な力やスピードが要るのもムダ。そんな所から考えられた先端形状だと思う。
 画像のピックはJAZZ IIIよりも広い角度の物を選んだのだけど、結局IbanezK-LICKSの2メーカーからのみ。ホントこの形少ない。左下MASTER8は開きの狭いモデル代表として。もちろんこの形は人気モデルで、シグネイチャーモデルもたくさんあるので、コチラもチェックしてください。
 僕みたいに短くは持たない、長めに持って浅く当てる弾き方には絶妙に弾きやすい形かも。この場合はこの先端が正解なんだと思う。



 次に大事なのは素材と形状。素材については前回、前々回と触れてきたけど、最終候補に残ったのは左からウルテム、ポリカーボネイト、ポリアセタールの3種類。厚みに対する硬さと滑らかさが割と似ていて、他のセルロイドやナイロンなどよりも撥音が良い。まあ好みなんだけど。
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 それぞれ言うとポリアセタールは全てに於いてバランスが良い。デルリン、ジュラコンをベースに、トーテックスなど各メーカー多少手を加えてるらしいけど、ダンロップではほぼ主力の素材だし、他メーカーでも今やセルロイドよりもメインなんじゃないかな。
 サラっとした表面、低い摩擦係数。適度に食い付き適度に滑る感じは個人的にすごく好き。
長年付き添ったTORTEX JAZZ IIIはコレ。
難点はピンポイントで特筆する所が無いコトかな。普通にイイと言うのは褒め言葉なのかみたいなね。

 ポリカーボネイトはポリアセタールよりもパキッとした硬さを感じる。しなやかさではポリアセタールよりもやや劣るのかもしれないが、この明るいトーンはクリーントーンのシャリっと感によく似合う。この魅力はちょっと薄い方が強調されるのだけど、1.0でもそのニオイは残ってる。まあクセと捉えるか個性と捉えるか、いずれにせよそういうものを持ってる素材には違いない。
 でもなんだかんだ言ってクリアカラーが使えるのが一番魅力。透明度が高いんです。


 そしてウルテム。今一番人気の素材で爪に近いトーンが得られるらしい。が、あまりそこはわからなかった。ジャンルや弾き方によるのだろうね。
 音のイメージはポリカーボネイト同様に明るくキラっとしてるがそこに品がある感じ。時代に合ったトーンだと思う。硬さもかなりあるみたいで、弦離れ良くピッキングはスムーズ。
 良い所ばかり目に付くが、強いて言うならその出木杉君なのが仇なのかも。良すぎ。ケチの一つくらい欲しい。


 この3種類の中でホントの最終候補は今の所ポリカーボネイト。少しだけナイロンをブレンドしてしなやかさをプラス。大阪発のピックメーカー K-LICKSさんのSCALE CHIPで使用している材を使わせてもらおうと思ってます。
↓コレね。
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リサイズしてチェックしたのでこの形は販売されてないけど、K-LICKSさんのサイトには他にも違うデザインがあります。プレスで抜くのと違い、射出成形という型に流し込んで作る方法だからエンボスとかテーパーとか3Dの仕様が豊富。素材もかなり幅広い。あとサイズがちゃんと明記されてるのはスバラシイ。


 デザインの要、形状はダンロップJAZZ IIIの先端を少し広げて一回り大きく、長さを27mmにして、エラを少し丸めて、テーパー無しのフラット1mm厚。グリップ部に何かしらのエンボスを入れてツヤ有りの表面になる予定。ラージJAZZよりは小さいけど、持ち方を変える余地を残したサイズってところ。
 ティアドロップの様に肩が怒ってないのも長さの割に小さく感じる工夫。意外とこの条件クリアしてるのは無いのよ。画像は外周をカットしたものをティアドロップと重ねて比較したもの。
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 さて、最後に一捻り。ヴィジュアル面ではクリアカラーでキレイな色が得られればと企んでますが、まだ未定です。赤なのか青なのか、濃いのか薄いのか、基本色なのか混合色なのか。まだ全然これからなんですが、ちょっとワクワクしてます。
 あともうひとネタ取り入れようと考えてますが、それはまたもう少し形になってから。 たぶん今までに無い、画期的かどうかも怪しい変なネタになるハズです。


それでは3回に渡ったピック話しは
ひとまず完。

それではまた。



by Rune-guitar | 2023-11-25 00:51 | guitar repair

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