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Rune guitar

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ギターリペアと日々のコト・・・

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 ギターネタがご無沙汰してしまったが、インフォメーション。先月よりCurionの各モデル("Rock" "Classic" "Contoured")が、全て石橋楽器店池袋店さまにて店頭販売していただける様になった。変な話しだが、僕自身が複数本を同時に眺めた事が無かったので、ちょっと”おぉっ”と思ってしまった。
 で、せっかくだからHPの方ではあまり触れてないCurionのチェックポイントなんぞを書き連ねてみようかと思う。

 Curion。まず、これはブランドなのか、それともモデル名なのか?。メーカー名ではないぞ。ん〜、微妙だな...。そう、ヤマハさんのパシフィカみたいな関係だろうか。ブランドネームがそのままシリーズ名の位置付けになってるというか。僕の中では、Curionは設計を含めあのデザイン以外に有り得ないので、モデル名をそのままロゴにしてヘッドに冠しているというのが正確なトコロかな。ただ、ボディーのバリエーションがあるので、一応個別の名称も用意している。

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 "Rock"はCurionのスタンダードモデル。思えばCurionは、コンセプトからデザインからほぼ全て一気に決まっていった。こういう感覚は好きだ。あーでもないこーでもないって仕様を決めていくのと比べると、とにかくまとまりが違う。無駄というか中途半端というか意味無いというか、パッと見た瞬間の違和感みたいなものが無い。これは、物を創る人にはとてもよく判る感覚だと思う。そういう部分で "Rock" は一番煮詰まった感がある。原点と言ってもいい。

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 "Classic" は"Rock" のカラーバリエーションを考えてるうちに枝分かれしたモデル。木目物が欲しくてアッシュを使いたいのだが、マホガニーボディーの音は捨てたくない。加えて、Rockのプロトタイプを見た販売店スタッフの方からの“重い”という意見を反映させて、マホのホロウ構造、蓋にアッシュを使う事で決着をみたモデルだ。
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 そして "Contoured"。基本コンセプトから一番遠いくせに一番評判の良いモデル。いわゆる普通のボディーだ。この辺がちと悔しいトコロ。やっぱり御本家は偉大である。半世紀以上前に設計されたギターが未だ現役だというのがよい証拠か。


 しかし、僕が Curion でやりたかった性能面での一番のポイントは実はそういう所ではない。6弦3フレットG音の精度だ。普通、この手のトレモロ付きギターは大抵ここが合わない。1fのF音もそうだが、特にミディアムジャンボ級の高さのあるフレットが打たれてるとローポジションのイントネーションは間違いなくシャープしてしまう。これはロックナット等、ナット部での弦高が高くても同様。ブリッジ位置やナット位置等、設計そのものを変えない限りサドルでの調整は無理なのだ。これが一番なんとかしたかった。'50年代と'80年代以降の歪みだ。

 という訳でみなさん、Curionを試される時はローコードの G を弾いてみてね。アコギの様なコード感が感じられたら、それがCurionです。どうぞよろしく。
# by rune-guitar | 2010-12-09 00:34 | guitar repair
 先日、鎌倉に行ってきた。最近ちょっとハマっているのだ。まあ、以前から湘南の辺りは好きだったのだが、そんなにしょっちゅう出かけてた訳でもなかったのに、ここへ来て無性に訪れてみたくなってガイド本まで買って行って来ましたです。

 
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 今回は車を江ノ島の駐車場に停め(一番奥のトコ、一日¥690!)、後はフリー切符”のりおりくん”活用、江の電で移動した。
 鎌倉高校前で一旦下車、線路沿いを散歩。天気も良くなって来たので少し暑い位だったけど、それでもサーファーの多さにはちょっとビックリした。だって11月も終わりでっせ!?

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 七里ケ浜を過ぎて稲村ケ崎まで徒歩で移動。この辺りは道も小さく線路脇からいきなり民家へ続く石段とかあったりして面白い。目当てだった古道具屋さんはあいにくお休みだったが、トンビの鳴き声を聴きながら楽しい散歩であったヨ。

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 稲村ケ崎から一駅乗って極楽寺へ。成就院を経て、更に切り通しを下っていくと和菓子の老舗 ”力餅家”さんがある。子どもらのお楽しみだったお店だ。一押しはその名も”力餅”。10個¥650のをいただいたら、あんまり美味しくてもう一箱おみやげに(日持ちは当日限りだそうだ)。

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 ここから名所長谷までは目と鼻の先。そう、大仏への道を行く。このメインの通りはやはり人がたくさん。長谷寺の紅葉と観音様、高徳院のリスと大仏を観て帰路へ。
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 本当はもっと時間かけて、のんびりアチコチ行きたかったんだけど一日じゃ無理か、やっぱ...。でも、いいなぁ、湘南。あの雰囲気が時間を気にさせないから一日じゃ足らないんだよな。腰越でシラス丼食べたかった。ん〜、また行ってやる。
# by rune-guitar | 2010-12-07 12:22 | いろんな事
 前回に続き絵の話し。ギターの話し期待してた人ゴメンなさい。エミールクラウスの他にも良い画家はいたので、やはりそちらにも触れておきたい。

 ラーテム村のアーティストには、エミールクラウスよりも前に第一世代と呼ばれる人たちがいた。代表格はラーテム村出身のアルベイン ヴァン デン アベールと、転入組のジョルジュ ミンヌ。このミンヌの作品は絵画だけでなくブロンズ像も出展されていて、”ひざまずく少年”というのが凄かった。

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そんなに大きな作品ではない。高さ1メートル無いくらいだったかな。タイトルにある”ひざまずく”というのがオリジナル通りなのか判らないが、まぁ、大抵は何か悔い改めてるか絶望的な程に打ちひしがれている時に使われる言葉だ。うん、まさにその通りの苦悩の表情。僕はあまり立体の作品というのは興味なかったので他を知らないのだが、下手すると生身の人間よりも深いものを感じさせるその面持ちは、そのまわりの空気感を一変させていた。また、これにかなり近い”聖遺物箱を担ぐ少年”というのも出展されていた。


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そしてそして、第二世代からレオン ド スメットの”室内あるいは恋人たち”という作品。部屋の空間を目一杯使い、人物は右下に配置。壁にある2枚の大きな絵は実在する自身の作らしい。で、中央付近の白い彫像。これが先述のミンヌ作”聖遺物箱を担ぐ少年”。この像を含め、他にも皿や室内の造り等が”読書”というもう一つのレオン作品に登場している。仲良かったんだね。

 余談だが、レオンにはギュスターブ ド スメットというお兄さんがいて、彼の作品もたくさん展示されてたけど、どちらかと言えばギュスターブは大胆な路線変更後の1920年代に描かれた作品が評価されてるらしく、展示数もそっちの方が多かった。正直、印象主義では弟の方が断然上手いと思うよ。”白樺”や”林道”という作品では、え?3D? みたいな錯覚に陥らせてくれる。なんか出っ張って見えるんだ。不思議〜。

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 同じくレオン作 ”桃色のハーモニー” これなんかは兄貴にゃ描けないだろうなと思う。いや、別にけなすつもりは無い。兄は兄で違う道を選んだのだし、それで正解だろう。ただ、僕は弟に惹かれるかな。
 この作品ではエミール譲り?の印象派技法、点描プラスアルファが発揮されている。解説によれば、人物とりわけ胸の辺りは点描を控え、かつての写実的筆致になっているのだそうだ。結構大きな作品で、胸元は目線よりも上の方だったため肉眼ではよく判らなかったけど、そういうところに別の思考が働いていた辺りが、やっぱひと味違うかなと。ん..その..兄貴とね..。


 さてさて、なんだかんだでやっぱり面白かったよ、今回は。実はコレより前に”遥かなるロシア展”(だったかな)というのも観に行ってたんだけど、そっちはいい作品が思ったより少なかったからね。こういったメインとは違う人に出会える作品展はとても嬉しい。つまりはあんまり知らない方がいいってコト??  

お土産のベルギー王室御用達のクッキー、おいしかったっス。デハデハ。
# by rune-guitar | 2010-11-03 01:53 | 絵の事
 ちょっと前になるが、渋谷のBunkamuraでエミールクラウスの作品を見て来た。正しくは”フランダースの光 ベルギーの美しき村を描いて”というタイトルになるが、ベルギー北部フランダース地方のシント・マルテンス・ラーテムという村に集まった作家たちの作品展だ。

 彼らは都会を嫌い、静かな田園の広がるこの村の美しさと、そこに暮らす農民たちの姿を生き生きと描いている。エミールクラウスはその第二世代に活躍した人で、1880年代後期までは写実主義に近い作風だが、90年代頃からモネの影響で印象派っぽい描き方に変わっていく。前に観に行ったフェルメールと作風は違うものの、こちらも光りを描くのが上手い。リュミニスム(光輝主義)というんだそうな。

 フェルメールとの決定的な違いは、フェルメールが室内の窓から差し込む光り(と、その反射光)を見事に表現する一方、エミールは殆どが屋外の絵だ。しかも逆光。描く人物像も、フェルメールはそこそこ裕福な人たちを描いているが、エミールは農民が主役だ。まぁ、国も違えば生きた時代も200年以上違う訳で、比べること自体がナンセンスなのだが、要するに2人が僕の好みの画家だというコトだ。


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 ”ピクニック風景” これが今回の目玉だったんじゃないだろうか?手前にいる家族は地元の農民たち。草ぼうぼうの荒れた野原で、食べ物はあるのか無いのか判らないが、子供たちは親のそばから離れずにいる。お父さんらしき人はいない。一方、川を挟んで向こう岸には都会から来た富裕層の連中が優雅に楽しんでいる。キレイに手入れされた草原。川には食事を用意しているのか船が停まっている。メチャメチャ格差を付けて対比させているが、主役はこちら、農民たちだ。この作品では、まだ写実的表現がハッキリしていて実に見事。完璧なデッサン。光りの扱い方。絵というものの定義が判らなくなる程の傑作。


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 もう一つ、”夏の夕暮れ”という作品。やはり川を背景に貴婦人がティータイム?なのかな。テーブルには2人分のカップ。椅子も2脚あるが、連れはどこいっちゃった?。なんか、寂しげな疲れたような女性。これと好対照なのがこちら。

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”刈草干し”新聞広告に使われていたので、絵に興味無い方も見覚えあろうかと思う。もう既にこの作品ではモネ風なタッチに変わってきているが、描かれてる人物の生きていく為の強さのようなものはモネじゃないな。逞しいよ、裸足だもん。この人物と同じかと思われる女性が”レイエ川沿いを歩く田舎の娘”という作品にも描かれているが、やはり ”この土地で生きる” みたいなチカラ強さを感じるなぁ。思いっきり逆光だし。
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この他にもちょっと注目の画家がいたんだけど、それはまた後ほど。

そう、Curion情報もUPしないとな。ん、まぁ、とりあえず...ちょん。
# by rune-guitar | 2010-11-02 01:56 | 絵の事
 前々回で話した円錐指板のR計算表。なんとかWEB上で公開出来ないのかなと思っていろいろ試行錯誤してみたけど、僕には無理そうなのであきらめた。仕方ないので、表計算ソフト上の見た目だけをJPGにしてみたよ。実際には機能しないけど、”こんな風に表作ってみてね”みたいなもんか。

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 簡単に説明すると、上の表がメインで、下の2つの表はサポート的なものだ。クリックしていただくと全体が見れる。因みに入力は全て左下の表で行うようにした。


 前々回でも書いたが、各ポジションでのRをはじき出すのに必要なデータは3つ。

 1つ目はナット部での1〜6弦間の距離。これが表のA欄に入る。

 2つ目はブリッジサドルでの1〜6弦間の距離。これはC欄に。両者とも実測値が望ましいが、一般的なギターの規格に照らし合わせたい意味もあり、それで左下の表を用意した次第である。ナット幅とサドルピッチを入力するとAとCに必要な数字に置き換えて入力される。

 そして3つ目は、基準値として12F上のRをE欄に。僕はリフレットの際に行う指板修整時、まずここを何Rでいくか決めてから作業するのでこれは実測値ではない。完成予想値とでも言うべきだろうか。ナットとサドルは後で調整が出来るけど指板上の部分はフレット打っちゃってからでは修整出来ないからね。

 右下の小さい表は単にインチとミリの換算用だ。左下の表で12Fの数値にはインチを入れるようにしてしまったので、ミリで入力したい時用に作っただけ。電卓代わりである。

 残りのB、D、Fの欄は入力の必要は無い。表を組み立てるのに判り易くしたかっただけなので、もし皆さんがやってみる場合には入力欄はいらない。
 各セルに入る計算式はパズルがてらに自分で作ってみていただきたい。A、C、Eの各欄に画像と同じ数字を入れるとあら不思議。各ポジションのR(インチの方)が、いやにキレイな数字で揃っちゃう。なんで? これ、偶然じゃなくて、なるべくしてなった数字だよね。 たぶん....。違う?

 判る方、ぜひコメント下さい。ん〜、なんか情けない。
# by rune-guitar | 2010-10-12 01:31 | guitar repair