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Rune guitar

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ギターリペアと日々のコト・・・

 古いマーチンのピックガードは塗装の中に塗り込まれている。材質はセルロイドなのかな。よく縮んじゃってスルメ焼いたみたいにめくれあがったのを見かける。

 この時、ボディートップを一緒に持っていってしまい割れを起こす症状が、いわゆる”マーチンクラック”。コイツを直すには一度ピックガードを外す必要がある。割れ口を元の位置にもどす為だ。接着はニカワなので過熱で簡単に剥がれてくれるのだが、一度剥がしたピックガードは再利用出来ないと思った方がいい。表面に塗られたラッカーの収縮も手伝って、反りはほぼ戻らないしサイズも合わなくなってる。

 そういう時によく行うのがピックガード交換。普通は0.5mmの塩ビ板をカットして貼付けるのだが、本来塗り込みであるモデルにプラスティックのピカピカの外観は似合わない。ともすれば安っぽいイメージになってしまう。そんな時はピックガードに塗装をかけてやるのだ。
マーチンのピックガード_c0179274_0405267.jpg

 で、今、乾燥中....。


 実際取り付けるとこうなる。
マーチンのピックガード_c0179274_0425362.jpg


 塗り込み特有の表面のたわみがわかるだろうか?ボディートップの面がすでに変形してる事と、ピックガードのエッジの形状に起因する独特の雰囲気だ。ただ切り出してベベル処理しただけのピックガードだとすごくアンバランスな感じになるが、こうして手をかけてやるとそれなりの風格を取り戻せる。参考までに本物と比較してみよう。
マーチンのピックガード_c0179274_050787.jpg

作成品

マーチンのピックガード_c0179274_050307.jpg

本物

 この塗装はただクリアラッカーを吹いただけとは違う。色見や灼け(太陽光で見ると判り易い)、エッジ付近の塗料溜まりやスプレー跡なんかも考慮してるのよ、一応。もちろんギター側から型取りして、出来るだけけジャストサイズ(実際にはほんの僅か小さい)に成型し、エッジ形状の特徴なんかも盛り込んでやる。中途半端にやっても意味が無いんでね。 

ん〜、今後の課題は木目の痩せに沿った歪みの再現かな。
# by rune-guitar | 2010-01-19 01:09 | guitar repair
フレット交換って簡単?_c0179274_1373663.jpg


 たまにね、”フレットの交換って実はすごくカンタンなんです。”ってな文章を目にする。”ちょっとコツを覚えれば...”とかね。 趣味でギターイジリをされる方は結構多い。ましてや高額のリペアなら、尚の事自分で済ませてしまいたい。そりゃそうだ。僕もそうだった。

 ただね、ん〜...ネット上のこういう文章ってウソとかホントとか白黒つけるものではなくて、あくまで ”その人の場合”という参考意見として受け止めるべきなのは周知の事。でも、やはり人によっては ”えっ そうなの!?”とか ”この間、ン万も払ってやってもらったのにぃ...”などと妙な疑心を芽生えさせてしまうのではとつい思ってしまう。友人曰く、日本人は活字(出版物としての意)に弱いのだそうだが、ネット上の文字も当てはまるのだろうか?。

 実際、個人が趣味でやったフレット交換とプロがお金をいただいて行う作業が同じレベルである事は殆ど無いと思う。あるとしたら、元プロかそれに近い経験をされている方の仕事だろう。そういう話ではない。
 多くの方が、フレット交換と聞けばやる事は、今打たれているフレットを新しい物に入れ替える作業と思うだろう。もちろんその通りなのだが、実際の作業における最重要ポイントは指板の修整、成型にある。

 そもそもフレットを交換する理由の多くはフレットの減りによるビビリ、音詰まり等だ。それをきちんとした状態にする為の大工事なのに指板の歪みを無視するなんてのは、余程の理由が無い限りナンセンスだ。アコギなんかは腰折れしてる個体も多いし、エレキでもロッドの効きが甘くなってきてるネックとか多いしね。フレット交換はそんな全体的な不具合を全部スパーッとキレイにしちゃういい機会だ。

 しかし、一口に修整と言ってもどこをどのくらい落とすのか、どの辺が限界なのかの見極めは難しい。ポジションマークやセルバインディングに気を遣い(場合によってはあらかじめ取り外したり)完成時の状態を予測して、そこから弦の張力や打ち込み後の反り等を引き算したりなんだりして決めて行く。何も考えずに真っ直ぐには出来ないのだ。

 その他、細かい所では ”いかにフレットをきれいに抜くか”。フレットの溝はフレットを抜く際に痛みやすい。特にエボニーとかね。それに元のフレットと新たに打つフレットのサイズの違いにも注意。同じ物を打てばいいってもんじゃない。溝が緩くなってきてる場合もある。

 更に、いざ打ち込みに入っても上手くフレットが座ってくれない事は多々ある。元々の木の柔かさや脆さ、フレット自体の硬度や形状など、いろんな要素が絡み合ってる事もある。それでも2、3本打ち込んでみるとだいたい対処法が見えたりするが、こういう困ったチャンには手を焼く。とにかくフレット一本一本の座る位置が、極力均等で浮いた感じ無くピタッと指板に這うような状態を目指す。どうせ後で擦り合せるから..なんて甘い事考えてるとせっかくの新しいフレットなのに背が低くなってしまう。

 注意点はまだまだいろいろある。仕事となると仕上がりの美しさなんかも問われるしね....。慣れというのはそれらを無意識にクリアしていく事なんだろうな。

 年間数十本のギターをフレット交換してても尚、僕には慣れの問題とかすごく簡単などとは言う気になれないなぁ。ん..当たり前か、プロなんだから。
フレット交換って簡単?_c0179274_13825.jpg

# by rune-guitar | 2009-12-26 01:47 | guitar repair
あんまりなヤツ_c0179274_0314653.jpg


 ブリッジの貼り直しである。アコースティックギターのブリッジは経年変化でよく剥がれるのだ。原因の多くは弦の張力によるトップ板の変形で、これが引き金となって大抵は紙1、2枚程度の隙間が出来る。弦をピンで留めるタイプならブリッジが吹っ飛ぶ事は無い。まぁ、よくある症状というか、ある意味ブリッジも消耗品(変形や割れたりもする)なので、交換を考えると剥がれてくれないと困るのだ。あまりに強固にくっついてるとトップにダメージがいく。

 しかしその逆で、あんまりな接着で世に出てしまうギターも多い。コスト、生産上の都合だろうが、基本的に接着剤が効きにくい塗装面に瞬間接着剤のようなものでペタッと貼ってあるモデルって結構ある。本来なら、木の面同士を加熱や加湿で剥離可能な接着剤(ニカワや水溶性のもの)で接着すべき部分なのだが...。



 画像のモデルは国産の某有名メーカーのもの。結構古そうだ。いつ剥がれたかは判らないが、持ち込まれた時はまるでトレモロのアームダウン状態である。まさしくあんまりなヤツだ。弦を外したらブリッジもポロンと取れた。コイツを再び接着するには、まずブリッジの形状に合わせてトップの塗膜を取り除かなければならない。

 
 ここでようやく話したかった所になる。アコギのトップ板は単板ならブックマッチが当たり前。一枚の板を、本を開くように二枚に割って接ぐ方法だ。この製法上、刃物が噛む向きが左右の板で逆になる。スプルースはノミ等がちょっと噛んだだけで深くめくれたりするので木目の向きは要注意なのだ。これは塗膜を剥がす上でもかなり重要な事で、極力平面を維持し塗膜だけを取り除きたいのだから、必ずセンターを境に左右で反対の方向から剥がす。その工程で半分までいった所がこの画像。

 ま、別にあんまり大したネタじゃないんだけどね。こういう所にも気ィ遣ってんのよと言いたかっただけさァ。オソマツ。
# by rune-guitar | 2009-09-16 00:33 | guitar repair
 しばらくご無沙汰にしてしまったが、やっと手が空いて来た....という訳ではない..。

どっちかというと現実逃避に近い。まぁこのご時世、実際受注数自体はやや少なめになってきたが、内容的には以前にも増してヘヴィーだ。

こんなのとか

久々に_c0179274_07389.jpg


こんなのとか

久々に_c0179274_2242574.jpg


そんなのが多い。かなり多い。いや、貯めこんでしまったからなのだが....。

ちょっと昔話をしよう。

 リペアを始めた頃、メインの仕事はお店さんの買い取り中古品をクリーニングして調整する事だった。そのうち少しずつ修理らしい仕事が貰えるようになり、最初はナット交換(お約束?)とかエレキのパーツ交換。

 とにかく本数をこなす。食事とトイレと寝る時間以外すべてギターと一緒。月に手掛ける本数は100とか120とかだったっけ?。今、考えるとこれも恐ろしい。でも、この時期に元の職場で付き合いのあったメーカーさんと伝票取り引きをしてもらえるようにもなったのは、パーツの消費がかなり多かったからでもある。

 そしてどれくらいしてからか忘れたが、すり合わせやP.U交換等、店頭品ではなくお客様からの預かり品をまかせてもらえるようになった。今でもそうだが、その頃の僕は自分の仕事レベルがどの程度なのか知らないが故、店頭品じゃないとなると一本のギターに随分と時間を費やしていた気がする。どこまでやればOKなのか確信が持てないからいつまでもイジってる。これは仕事が丁寧なのとは違う。仕事が遅いのだ。

 それでも何故か内容はだんだん濃くなってきて、木工や塗装がウエイトを占めてくる。リフレットやネック折れ等は既に定番だ。アコースティックではブリッジ作成交換やネックリセット等、まず接着を外すというイヤ〜な作業から入る事も多々ある。当然また接着する訳で、本来塗装前の作業をやる場合も多い。まさに先の2枚の画像。


このブログを読んで下さってる方の中にはリペアマン志望の方もいらっしゃるかもしれない。

一つ言っておきたい。

リペアは体力勝負だ。

集中力?眼力?、精神力?、etc?。 いや〜それも結局は体力だ。技術はやれば付いてくるけど体力は付いてコネ〜ぞ〜。
# by rune-guitar | 2009-06-25 00:10 | guitar repair
 製作やってる方は皆さんご自分のロゴをもってらっしゃるかと思うが、僕も今回初めてデカールを発注してみた。フェンダースタイルとでも言えばよいのか、いわゆる水転写シールを作ってもらったのだ。

 製作って技術的なものよりも販売に至るまでのノウハウの方が必要らしい。段取りというヤツか。本体の方はもう2年くらい前から手掛けて、プロト含めて何本か作ってたけどロゴのデザインや付属品(ケースとか)なんかが全部後回しになってて、結局今になってもまだパッケージが定まってない。

 ま、とりあえず初めて自分のロゴのついたギターが出来たので写真撮ってみた。ヘッドだけだけど。こんなんです。

ロゴ_c0179274_293841.jpg


 全体的にフェンダースタイルを踏襲してるのでトップコート無しの直貼りだ。少数生産なので、一枚あたりの単価がバカにならない。ほとんどが版代だから枚数が多いほど単価は下がるが、生涯かけて何本作れるかもわかんないのでまずは50枚。一枚あたり¥1,000くらいになるので失敗するとちと痛い。

 でも、やっぱロゴが入ると面構え変わるねぇ〜。名乗ってる以上変な者ではござらんという証しだからかな。自分の子の門出みたいな気がするよ。後は身支度整えて、今月中にはお店に並べてもらえるのではないかという所。(なんてケースは今日発注だし、まだ保証書作ってないし、展示用のポップやカタログもしくは仕様書なんかもこれからだ)

 ね、メーカーさんて大変だなあと思うよ。1ロット何百本て単位でギターを企画、生産、販売する。当然売りっぱなしな訳も無い。アフターの事もある。幸い?ウチは修理屋だからこの点は心配しなくていいけどね。ブランドロゴってそういう責任の意思表示なんだな。

 さあ、このギターは皆さんからどんな評価を頂くんでしょうか。腹くくっとかないとな。万人に受け入れられる筈は無いんだから。むしろかなりの単一指向性ギターだし、オールハンドメイド故マシン加工にゃ適わない部分もある。

 ただし、一本一本の細かい所に手を入れられるのは手工のなせる技だ。そういう所を大事に作っていこう。出来合いのネック、ボディーで作れる設計じゃないんだから。



 でもホント生涯に何本作れるんだろう。デカール余っちゃったりして...。
ロゴ_c0179274_21063.jpg

# by rune-guitar | 2009-01-07 02:13 | guitar repair