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Rune guitar

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ギターリペアと日々のコト・・・

 前々回で話した円錐指板のR計算表。なんとかWEB上で公開出来ないのかなと思っていろいろ試行錯誤してみたけど、僕には無理そうなのであきらめた。仕方ないので、表計算ソフト上の見た目だけをJPGにしてみたよ。実際には機能しないけど、”こんな風に表作ってみてね”みたいなもんか。

またまた円錐指板_c0179274_0134618.jpg


 簡単に説明すると、上の表がメインで、下の2つの表はサポート的なものだ。クリックしていただくと全体が見れる。因みに入力は全て左下の表で行うようにした。


 前々回でも書いたが、各ポジションでのRをはじき出すのに必要なデータは3つ。

 1つ目はナット部での1〜6弦間の距離。これが表のA欄に入る。

 2つ目はブリッジサドルでの1〜6弦間の距離。これはC欄に。両者とも実測値が望ましいが、一般的なギターの規格に照らし合わせたい意味もあり、それで左下の表を用意した次第である。ナット幅とサドルピッチを入力するとAとCに必要な数字に置き換えて入力される。

 そして3つ目は、基準値として12F上のRをE欄に。僕はリフレットの際に行う指板修整時、まずここを何Rでいくか決めてから作業するのでこれは実測値ではない。完成予想値とでも言うべきだろうか。ナットとサドルは後で調整が出来るけど指板上の部分はフレット打っちゃってからでは修整出来ないからね。

 右下の小さい表は単にインチとミリの換算用だ。左下の表で12Fの数値にはインチを入れるようにしてしまったので、ミリで入力したい時用に作っただけ。電卓代わりである。

 残りのB、D、Fの欄は入力の必要は無い。表を組み立てるのに判り易くしたかっただけなので、もし皆さんがやってみる場合には入力欄はいらない。
 各セルに入る計算式はパズルがてらに自分で作ってみていただきたい。A、C、Eの各欄に画像と同じ数字を入れるとあら不思議。各ポジションのR(インチの方)が、いやにキレイな数字で揃っちゃう。なんで? これ、偶然じゃなくて、なるべくしてなった数字だよね。 たぶん....。違う?

 判る方、ぜひコメント下さい。ん〜、なんか情けない。
# by rune-guitar | 2010-10-12 01:31 | guitar repair
 いきなり訂正。前回の記事で、”今時、円錐指板は当たり前”とか書いてしまったが、改めていろいろなサイトを見てみたら円錐指板である事が売りになっているモデルが結構ありまして...。てコトは未だに円柱指板のネックも多いのかな、なんて思った次第です。

 リフレットの時でも12F以外のRってあんまり調べないんだけど(必要に応じて程度?)、先日手掛けた某メーカーのエレアコのリフレットは見事に円柱指板だったんだよね。やっぱ結構あるのかな。

Curion New Model_c0179274_1627029.jpg


 さて、そんなこんな中、遂にCurionのコンタード(contoured)モデルが完成。HPの方は更新にちょっと時間要るので、先にブログでお披露目しとこう。先行の "Rock" や "Classic" との違いは基本的にボディーだけだ。というかそもそもCurionの各モデルはそれぞれボディー違いなのだ。

 今回のモデルは、外見から想像する通りの音にしてみた。コンセプト的には少しスタジオワークを意識している。よりギタリスト向けというか、音を創り込む上ではあまりスタンダードなラインから外れていない方が仕事が早そう。そんな理由からボディー材にはアルダーを採用した。本当は3ピースを使いたかったんだけど、色見とか木目、重さ等から結局2ピースになってしまった。

 それと、基本以外の部分として、サーキットを少々変更。前2モデルのVolポットはノーマルのCTS 500K Aカーブ。底が平らでトルクの重い方を採用していたが、Newにはトルク軽めのCTSヴィンテージタイプ(いわゆるヘソ付き)500K A を使用している。そして、コイルバランサーポットもBカーブからAカーブに変更した。どちらも意味合いとしては、ライブ主眼からレコーディング思考へとシフトしたつもり。設計当初から迷ってた部分だ。

 そして、なんといってもボディー形状。個人的に60's後期の角張ったテレが好きだったり、ホロー構造の事なんかもあってCurionでは迷わずスクエアエッヂを採用したのだが、今回はプレイヤビリティー重視(&お店からの意見も)という事でラウンドエッヂにコンター加工付きのストラトチックなボディーになった。

Curion New Model_c0179274_16262171.jpg


 それにしても、ボディー材ってやっぱり凄くキャラ変わるね。いやボディーに限らずネックもそうだし、判ってた事だけどそれでもね。こういう違いってなかなか試せないから、みなさんも是非弾き比べてみて下され。って、まだお店様にご案内差し上げてないのだが...。

ひとつ乞う御期待、よろしくお願いしますです。はい。 あ...でも、まだコイツ名無し..。
# by rune-guitar | 2010-10-02 16:34 | guitar repair
 久々の更新である。CurionのNewバージョンの完成を待ってからなんて考えてたら、随分と間が開いてしまった。もう、夏も終わっちゃうしね。時の過ぎるのは早いもんです。

 さて先日、某楽器店さまにてちょっとしたギター談議になった。指板修整時のRの付け方についてだ。大抵のスタッフの方とはあまりこういう話題にはならないものだが、中にはギター制作スクール出身のスタッフさんもいて、こういった方との会話はかなりマニアックになる。
 しかし、そんな話しをすると、結構自分の知識の曖昧さに気付く事も多い。このブログへのアクセスキーワードに、よく”指板R”とか”円錐指板”とかが入ってるが、この指板R、一般の方はどのように受け止めてらっしゃるのだろう。てな訳で、今回は指板Rの話しをしよう。

 今どき指板は殆どが円錐指板だと思うのだが、この円錐指板がどんなものかをご存知の方はどの位いらっしゃるんだろうか。初心者の方はまず知らなくて当たり前な事なので、基本的な所から説明してみよう。


2012.02.03 追記  次項2010.10.02の記事の冒頭でも触れてますが、”今どき指板は殆どが円錐指板”では無いようです。ちょっとややこしくなってしまいますが御理解の程、よろしくお願いします。
以下本文に戻る


 クラシックギターやスティールギターを除くほぼ全てのギターの指板には緩いカーブが付いている。もちろんこのカーブはただ適当に曲がっている訳ではない。真円の一部、つまり弧になっているのだ。それを数字で表すのに"R"という言葉を使い400R等と言ったりする。この場合、正しくは400ミリRだがインチ表記すると約16”R(406mmR)と桁が違うので単位は省く事が多い。Rは"Radius"(半径)の頭文字だ。つまり、400Rといえば、半径400mmの弧という意味だ。

 そして、このRはローポジションとハイポジションでは異なっている。ローよりもハイの方がRが大きいのだ。これが何故かを理解するには、ナット部とブリッジサドル部の弦間ピッチ(弦の間隔)の違いに注目すればよい。この両者が同じ間隔なら指板Rはローからハイまで均等でよい。円柱の一部を指板に見立てた状態だ。各弦の直下は真っ直ぐになる。

 しかしこれでは演奏性に無理がある。ナット側のピッチが広くなれば弦を押さえにくいし、サドルピッチが狭ければ指が入らないだろう。それぞれ使いやすい弦間ピッチがあるのだ。
 それ故、弦はナット側からサドル目がけて放射状に延びる事になり、それに合わせてRも大きくなっていく訳だ。これが円錐指板だ。古いギターには均等なRの指板も存在するが、仮に円柱指板(?)に放射状に弦を張るとどうなるか? 空き缶にでもスケールを当ててみると判るが、弦の直下は直線にはならない。逆反り状のカーブを描いてしまい、いわゆる真っ直ぐな状態というのが3,4弦の間のみとなってしまう。もしこんな指板修整をしてしまったら本末転倒だ。

 では、カタログ等に表記されている指板Rは一体どこの数字か?。僕は工場の経験は無いので定かではないが、おそらく12F上ではないかと思う。少なくとも僕はそう設定して作業している。そうするとナット部とサドル部でのRは果たして幾つなのだろう?。これが今回の本題でもある。

円錐指板と指板R_c0179274_0522614.jpg


 上の図は僕がイメージしてる円錐指板の原理だ。各ポジション毎にある三角形は、円錐の中心を頂点とした二等辺三角形になっている。底辺に当たるABは1〜6弦間の距離、AC及びBCはそのまま半径になる。それぞれの三角形は尺度の違いだけで同型なので、比率によって各ポジションのRが計算出来る。表計算ソフトで簡単にいろんなバリエーションの比較が出来るので、暇な人はやってみてほしい。必要なデータは

  1. ナット部の1〜6弦間の幅
  2. サドル部の1〜6弦間の幅
  3. 12Fの指板R

この3つだ。この1.と2.から12F上の1〜6弦間の幅が得られる(足して半分にすればよい)ので、これを4つ目のデータにする。因みに3.の12FのRだが、これは指板修整時に於いては後から変更が出来ない部分なので、基準値として決定してしまう。
 これで12Fでの底辺と二等辺の比率が得られる。得られた数値と求めたいポジションの1〜6弦間の幅から半径が出て来る訳だ。応用で5Fと24Fも計算出来るようにしておくと面白い結果が得られる。
 試しに1.に36mm、これはナット幅41mmから両端2.5mm引っ込ませた数字だ。そして2.に54mm、これはサドルピッチが10.8mmの時の数字。でもって3.に254mmR、これはインチなら10"に当たる。これを入力した時、各ポジションのRがインチ表示の場合、実にキレイな並びになる。なんでだろうなぁ〜。



 僕はそんなにアタマが良い方ではないのでこんな事で”おおっ”とか思ってしまったが、数学に強い人は鼻で笑っていただいて結構だ。多分計算方法ももっと簡単に出来るんだろうな。ま、人それぞれ。こんなささやかな事が楽しめる人生もそんなに悪くはない。お粗末様。
# by rune-guitar | 2010-09-21 01:04 | guitar repair
before
顔が変わった_c0179274_1293336.jpg


after
顔が変わった_c0179274_0301540.jpg



 おかげさまで、Curionの展示が石橋楽器店の池袋店様でも決まった。こちらでは"Rock"のホワイトがお試しいただけます。コチラでとてもカッコよく紹介いただいておりまする。是非、ご覧下され。

 一方、先に渋谷店様にて展示していただいている"Classic"も若干の変更をした。元々はP.Gに黒のベークライトを装着していたのだが、HP上で一番最初に発表していたモデル(プロトタイプ)と顔が違いすぎた。よりテレキャスターに近いイメージになっていた為、白いP.Gに替えようかと検討していたのだ。2枚目と3枚目の画像がその新しいツラである。

 しかし、P.Gでこんなに変わるんだなあと改めて実感した。フェンダーのコピーだと、仕様の違い=不自然みたいなところがあるが、Curionは完全なコピーではないので年代による特徴に縛られないのがいい。

 ん?なんかちょっとズルい? ま、ま、ま、音は別モンなんでね、みなさん試してくださいね〜。
 
顔が変わった_c0179274_0295267.jpg

# by rune-guitar | 2010-07-27 01:35 | guitar repair
やっと1本出来た_c0179274_1495695.jpg


 Curionの"Rock"がようやく完成。4月から5月、6月とやたらメインの仕事(修理の方ね)が立て込んでて、先に仕上がった"Classic"から随分と間が空いてしまった。よくよく考えれば"Rock"は一番最初にHPで発表したモデルなのに、販売用の商品が今頃完成とは....。
 まぁいろいろ手直し入れたからなぁ。型も作り直してるしね。お陰で完成度は上がってるから熟成期間としよう。


 で、本日、石橋楽器店池袋店様にサンプルとして預けてまいりました。以前、エレキ担当者の方からお電話をいただき、出来上がったら見ていただく事になってたのだ。気に入っていただけるとよいのだが。

 元々、このCurionというギターは判り辛い所がある。フェンダー系のツラをしていながらそういう音しないし、スケールがちょっと短いとかヘッドにアングルが付いてるとかナットの位置が違うとかトーンじゃなくて変な物がついてるとか、説明されないとわかんないコトだらけだ。

 でも、鳴りというのか響きというのか、アンプに繋がず生で鳴らした時の音は少々特徴があると思うので、皆様もしチェックされる機会があったらまずアンプラグドで。ジャラ〜ンっていいます。
 あとチューニングね。コードのトーナリティーについては、ストレス溜まるトコなのでかなり意識してるつもり。ま、フレットがちとデカイので、グリップ強い方だと怪しくなるが。

 この2点については説明無しでも体感していただけるんではないだろうか?特に今までフェンダー系のギターを長く使われていた方にとっては判り易いと思うのだが、外見が外見だけに最もチカラを入れた部分が見えにくいというのはなんともモドカシイ。


 ん〜、まだまだ修行が足りんかの....?
やっと1本出来た_c0179274_1465312.jpg

# by rune-guitar | 2010-07-06 01:51 | guitar repair