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Rune guitar

runeguitar.exblog.jp

ギターリペアマンの視点から、仕組みやパーツなどにまつわる話しを綴っています。

 これな〜んだ? あまり見る事無いと思うので、撮ってみた。
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 ネック折れの補強を張る前の状態。ウチのネック折れの補強は横から見るとS字型にカーブしたザグリに同じカーブのマホのブロックを張り合わせる方式。
やっぱり大変だった仕事_c0179274_0404084.jpg

 通常ならネック側のカーブを成型した後、ほぼ同じにカットしたブロックを擦り合せて同じカーブにしていく。殆どのネック折れはこのやり方で通用するのだが、..だが、このデカイ金属の塊は?。

 あまり時代考証には強くないので申し訳ないが、これは一時期のギブソンに採用されていた順逆両対応のロッド。以前このタイプのロッド折れを扱った事があるが、四角くデカいアンカーがネックの両端に入っていてロッドはストレート。ロッドを回すとアンカー間のロッドの長さが伸び縮みするという仕組みだ。
 こんなデカイ物が入ってたら強度に疑問符が付きそうだが、意外と今まで折れたのにはお目にかからなかった。ギブソンでは....。

 実はこのちょっと前に、某国産メーカーのレスポールタイプで同じような構造のネック折れをやったばかりだった。そっちはもっとキビシい位置にもっとデカいアンカーが入っていて、とてもじゃないがその構造を変えないと補強もへったくれもなかったので、順反りのみ対応に変更させていただいた。だが今回は構造上その手は使えないので、必要な深さまで掘り込んで飛び出したアンカーをよけるように補強ブロックを成型するという、かなり厄介な作業になってしまった。擦り合せる事が出来ないので、何倍も手間かかる。何度も何度も、紙挟んだり、光当てたり、その他いろんな手段を使って...。


 こんな風に、時々、同じような内容の依頼が極短いスパンで入る事がある。ネック折れとかフレット交換とか、ただそれだけなら不思議ではないが、上の画像のようにロッドの仕込みが特種なものが続いたと思えば、ついこの間、サザンジャンボのブリッジ破損(作成交換)やったばかりで今度は
やっぱり大変だった仕事_c0179274_0393320.jpg

...このブリッジですわ。ただでさえ曲線ばかりで成型しづらいのに、インレイまで...しかも★6個..。

 ちなみに、これデカいピックガードが2枚付いていてボディーカラーは黒。トップの塗装も損傷があったのでリフィニッシュに。そしたらこれとほぼ同じ時期にヤマハのCJ(P.G2枚、色は黒)の派手なトップ割れとブレーシング破損が来た。やっぱりトップはリフ。なんか似過ぎ。コワいわ。
# by rune-guitar | 2008-12-05 01:58 | guitar repair
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 更新がご 無沙汰になってしまった。元々が筆無精なもんで...。

 今回はウチのオリジナルギターについて書いてみよう。ホームページは商用という事もあって書き方もある程度意識しているが、コッチではもう少し砕けた話をしよう。

 僕がエレキを始めたきっかけは高校の文化祭だが、この時いわゆるハードロックなるものを初めて聴いた。それまではS&Gとかアコギ派だったので、ロックなんて聴いてみようとは思わなかったのだ。

 曲は "BURN"。この辺で歳が知れるが、当時リッチーはRAINBOWで、”Difficult To Cure”をリリースしてた。まぁ、彼の音楽出身って事で当然初めてのエレキギターはストラトを選んだ訳だ。でもジェフベックモデルだったけど...。

 以来、あの抱えた時のバランスに慣れてしまった事とトレモロユニットのお陰で、ギブソン系は苦手になってしまった。ただ、音についてはシングルコイルはやっぱり難しいんだ。ちゃんと弾けないとメチャクチャしょぼい感じがする。これは歪んでようとクリーンだろうと変わらない。そもそもデリケートなのだ。当時ギター歴1年そこそこの小僧は考えた。なんとかラクしてウマく弾けるようにならんかと。これが僕の改造歴の始まりだ。

 まず手始めはP.U。もちろんハムバッカーに。よくパーツショップに通ったもんだ。バーゲンを狙ってネックやボディーにも手を出し、スキャロップしたりザグリ入れたり。でもギターは1本しか無いので、あっち変えこっち変えしてるうちにパーツによる音の足し算引き算が出来るようになった。これは今まさに役立っている。

 ウチのオリジナルギターは、僕のこんなバックボーンから設計上の発想を取り入れている。ポイントは

メイプル1ピースネック、音の輪郭がハッキリしてる。ナット幅狭く、厚みあるグリップ。25.25"スケール採用。ストラトよりチョット短いのだ。

マホガニーボディー、南部臭い、東でもましてや西でもない粗野な感じ。ちと重いが。

低出力のハムバッカー、太いけど生っぽさをかき消さない程度の出力。サーキットに仕掛け有り。(詳しくはHP見てね http://www.runeguitar.com/ORG.guitar/curionnewcolor.html

とまあ、こんな感じ。他にもいろいろ取り入れてるけど今回はこの辺で。狙いは、バランスや使い勝手はストラト風だがフェンダー系ではない音、どっちかというとギブソンのSGとかLP Jrみたいな感じかな。

ブランド名の"CURION"とは珍しいとか骨董品等の意味を持つ"curio"から。
# by rune-guitar | 2008-10-23 01:34 | guitar repair
 
ジャパン ヴィンテージ モディファイ_c0179274_2371370.jpg


 お茶の水からほど近い、宮地楽器 神田店様からのご依頼。もう去年の事になるが、とても面白い企画なのでご紹介しようと思う。

 エレキギターの改造というと割とポピュラーなのはP.U交換やペグ交換。ちょっと手が込んでくるとフレットやナット、ブリッジの交換。更に拘るならサーキット関係のパーツ交換やノイズ対策等々、カスタマイズのポイントは多岐に渡る。

 また、これとは別に自分だけの仕様を一から決めていくオーダーギターというのもあるが、今回紹介するのはその両者の性格を併せ持つようなギターだ。簡潔にいうと、過去二十年以上もの間、楽器として使用されていたボディー、ネックをベースに新たなコンセプトのギターを作ってみようというものだ。(詳細はコチラをご覧下さい ロック弦な日々

 基本的に、オーダーギターは当然の事ながら新品である。出音のキャラクターは木材の種類やパーツの選択によって決めていくのだが、初めて手にした時に出てくる音はやはり新品の音。
 ここに使い込まれた音を加えたい。って事で、素材として用意されたのは、'70年代のGRECOやFERNANDESのギターだった。現在、これらのギターはジャパンヴィンテージと呼ばれ、一つのカテゴリーになっている。やっぱり楽器って成熟していくものらしい。あたりの取れた馴染み易い音だ。

 これらのギターの木の部分以外をほぼ全て新しいパーツに変更。ナット、フレット、指板Rまでも指定が入る。この拘り様はスタッフの方々の思い入れの表れ。ここがただの改造ギターと違う所になる。個人的にもよく思うが、過去に商品として開発されたギターである以上そのスペックはかなり考えられたもの。中途半端に仕様をイジルとどこかにそのしわ寄せがくる事がある。

 例えば、フレットをジャンボにすれば当然ナットやサドル、ネックアングルまでイジル事になる。オクターブ調整やP.Uの高さ調整にも影響が出る。
 P.Uを変えれば物によってはポットやコンデンサーも変わってくるし、サーキットのレイアウトから変えた方がそのパーツを目一杯活かせる場合もある。ペグとブリッジの関係も然りだ。

 こんな風に、使い勝手等も含めるとかなりの部分に手を入れる事になる。トータルで見た時のバランスを考えるなら、一つのコンセプトで一気に全てを変更するのはとても有効に思う。

 さて、皆さんはこのギターをどのように受け止めるのだろうか。よかったら試奏しに行ってみてくだされ。
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# by rune-guitar | 2008-09-19 02:39 | guitar repair

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