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Rune guitar

runeguitar.exblog.jp

ギターリペアと日々のコト・・・

 これからギターを始める人にちょっと役立つかもしれない話シリーズとりあえず完結編。

 僕が楽器店に勤めてた頃、初心者の方向けのセット販売用として必要な小物類をまとめたパックがあった。◯点セットとかそんな感じの。
 中身はシールド、ストラップ、ピック、クロス、チューナー...あとなんだったっけな。ま、どれも”まず最初に揃ってないとちょっと不便”みたいな物だ。

 これらはやはり一つ一つ良い物気に入った物を選んだ方が良いのだけど、その中で一つ。

チューナーのほかに音叉があると良いよ。

 今時って音叉でチューニングする人少ないのかもしれないけど、ギターってちょっと変な楽器で、チューニングが特殊なのだ。ピアノ等の鍵盤楽器ともヴァイオリンやチェロ等の弓弦楽器ともちょっと違う。フレットを持つ弦楽器は全て皆、この問題(?)を抱えているのだよ。


 そもそもチューニングには”純正律”と”平均律”の2種類がある。本当はもっとあるらしいが、くわしい事はwikiってもらうとして、大きな違いは和音の綺麗さというか揺れの無さ。純正律はこの揺れが非常に少ないのだ。

 簡単に適当に説明すると、純正律は基準の音に対してぴったり調和する音程ばっかり使っている。例えばドに対するミやソはそこらへんにあるミやソとはちと違う、ちゃんとキレイにハモるミやソなのだ。ただ、その厳選された各音程のお陰で基準音(調:キー)が変わるとメタメタになってしまうのだが。

 対する平均律はその問題を解決すべく、ハモリの綺麗さはそれなりだがどんな調でもこなせるようにどの音程も純正律とは微妙にちょっとずつズレている。というか何処から見ても等間隔みたいな風になってるのだ。前述のピアノ等は特殊な場合を除いてこの平均律でチューニングされている。

 ではヴァイオリンなんかはどうかというと、ギターと違ってフレットが無いので音程は全て演奏者次第。純正律の演奏はもちろん平均律だって半音の半音だって出せてしまう。声も同じだね。

 じゃギターや他のフレッテッド楽器は?。そう基本的には平均律だ。フレットの間隔は平均律で配置されている。どんなキーでも使えないと困るからね。実際コードを引いた時にワンワンワン...という揺れが出てるのがわかるかな? それってチューナーでバッチリ合わせた状態でも多少は出てしまう。それが平均律だから。



 しかし、ギターにはオクターブ調整というのがある。弦を抑えた時に生じるチューニングの僅かなズレを修整するものだが、この調整しだいでは、揺れを減らす事も出来ちゃうのだよ。もちろんどのキーにも対応する訳ではないが、バンド音楽で使うキーなんてそんなに多くないから結構有効だ。
 更に開放弦の音程だってある程度変えられる。アンサンブルによっては、ローコードを引いた時にうねらない様に開放のチューニングをイジルのは有りなのだ。

 それには耳が鍛えられてないとイカンって訳で音叉の出番。日頃からチューナーに頼らず耳でチューニングしてると、この音揺れ凄く気になってくる。チューニングに対してシビアになってくる。すると、演奏にも変化が現れるのだよ。


 少なくともチューニングにシビアになった時点でちょっとレベル上がるよ。ディストーションサウンドもスッキリするので、自分のプレイがイケてるのかイケてないのかもよ〜く判るし。

 ね。それには音叉。これ一本持っとこう。電池使わないからエコだし。違うか。いや違くない。
# by Rune-guitar | 2013-05-17 00:02 | guitar repair
 本当は”これから〜”の3に行きたかったんだけど、その前に。

トラスロッド_c0179274_2329232.jpg


これはトラスロッドを交換するところ。ロッドの先端(ロッドナットが付いてる所)が折れちゃったのだ。最近では折れた所をちょっと深くほじくって、またナットを付けられるようにする治具もあるけど、それでは根本的な解決にならない場合も多い。なぜか?


 答えは簡単。通常ロッドが折れるという事は滅多に無いのだよ。折れるという表現もどうかと思うが、つまりは5mmとかある金属の棒をねじ切っちゃうってのは相当なチカラを加えてる訳さ。もう締め込めない、回らないのに回すから折れて(ねじ切れて)しまうのであって、そこまでロッドを締める理由はタダ一つ。

”順反りが治らないから”

 これに尽きる。いやホントは回る筈がロッドナットが固着してたとかいろいろあるんだけど、それでも大元の原因は”順反り”ですよ。しかも過度の。

トラスロッド_c0179274_23462313.jpg


こっちの画像はちょっと判りにくいかな。まだ溝の中にロッドが埋まってて、本来はこの溝に上から埋木がされて、その上に指板が貼られている。これは埋木を取り除いた所ね。
 で、トラスロッドはこの溝に真っ直ぐの状態で仕込まれてるのではなく、少し湾曲して入っている。つまりネックが真っ直ぐの状態では、ロッド自体は順反りのようになっているッて事。

 溝の一番深い所は楽器によって違うが、だいたい6f近辺が多い。12〜13fの辺りには回転止めのアンカーが付いている。

トラスロッド_c0179274_0234053.jpg


 さて、弦の張力でネックが反ったとしよう。ロッドナットを締めるとアンカーまでの長さが短くなって、湾曲部分がぴんと張った状態になる。すると一番溝が深かった6f辺りが出っ張ってくる事になって結果反りが治る訳だ。
 ね、こんな程度の構造だもん。初心者が回したってそう簡単には折れないよ。

 しかし、ネックそのものの硬度が低い場合、順反りが取れない事は多々ある。材が柔らかすぎて弦の張力に対抗出来ないのだろうね。こういう時に起こるのだよ、ロッド折れ。まあそのロッド個体そのものの欠陥なんかもあるのだろうが、もう回らないのを無理して回すとやっぱ折れるのかな。


だもんでこのギターには順逆両対応、ツインロッド(もしくは2way ロッド)なんてのを使わせて頂く。(画像忘れた 今度ね)ロッドが2本で一組なので弦の張力にも強いしね。

さ、後ひと息、がんばろ。
# by rune-guitar | 2013-05-11 00:45 | guitar repair
 え〜、比較的早い更新です。ネタが決まってるとね、ラクかも。あと画像無しとかも。

 さて、前回の終わりのところでギターの上達に関係するだのしないだの書きましたが、初心者の方に.とっては”どうしたら早く上達するかってのは気になるトコロだよね。
 僕らの時代は(30年くらい前?)あまり教材的なものは無かったから、ギター雑誌のスコア見たりラジカセの再生と巻き戻しをガチャガチャやって曲を聴いて覚えたりしました。練習といえばつまりコピーする事。当時、楽譜は見ずに耳でコピーするのがステイタスだった。バンドスコア買えなかったってのもあるけどね。
 毎日ラジカセを再生、ガチャッ、巻き戻し、ガチャッ。一日の大半がこれで終わった。あ〜あ、なんて遠回りな。
 でも、そのかわりに耳は鍛えられたかも。特にビブラートのニュアンスとか、その人の個性が出るような細かい所って以外と頭に残ってるもんで、だから僕等みたいに昔の人間は音とかが好きなギタリストに似てくる。まさしくコピーだね。


 さてさて本題、上達に関係する事の中にギターのセッティングがある。あくまで初心者の方に向けて書いてるので御了承くださいね。ギターってセッティングがあるのだよ。一応、工場出荷時にもセッティングはされているので買った時のままでもいいんだけど、作られたばかりのギターって木製品故に動いちゃうのだ。例えばネックの反りなんかは当たり前に起こる。結果、弦高(弦とフレットまでの距離)が高くなってたりするのだが、それに気付かずに練習してたらそれはやはり遠回りな気がする。
 また、中古を購入した場合、購入先によっては前の持ち主のセッティングのままなんて事もあるだろう。それが必ずしも自分にとって良いセッティングとは限らないし、そもそもちゃんとしたセットじゃないかもしれない。もしかしたら今使ってるギターはとんでもなく弾き辛い状態なのかもしれないのだ。

 あ、いやいやそんな大変な話ではない。セッティングは本来自分で出来る事だからね。基本的にはネックの調整(ロッド調整ってヤツ)と弦高調整、オクターブ調整の3点。それに加えてエレキならピックアップ高さ調整、トレモロ付きならその辺もやってあげれば一通りかな。
 ま、他にもいろいろあるけど重要なのは、今、自分は上手く弾けてるのか、そうで無さそうならそれは何でなのかに気付くコト。もし身に覚えがあったならギターのセッティング状態を調べてみよう。それぞれのチェック方法はウチのサイトでもいいし、ググればいっぱい出てくるからいろんなトコロを見て勉強しよう。

 キーワードは ”ギター、調整、方法”なんてのでいい。たぶん一つ見ただけじゃワカンナいだろうけど、そのうち理解出来るから心配ないよ。変にいじっちゃって元に戻せなかったらどうしようとかも考えなくていい。ドライバーや付属の六角レンチ等で動かせる所はイジっていい所なんだから、じゃんじゃんイジろう。気をつけるのはタダ一つ。”ネジを力任せに回さない事”。これは厳守。それと測定用のスケールはあると良い。てか無いと困る。150mmの物でよいのでホームセンターで買っておこう。損は無いよ。

それでは健闘を祈る。これ、立派な上達の近道だよ。
# by Rune-guitar | 2013-04-27 01:02
 え〜、まったくの思いつきなんですが、ちょっとシリーズで僕の楽器店勤務時代に得たお役立ち?話をしていこうかなと...。

 まず最初に思ったのは、昔からそうだけど初心者の方に対する情報って広く浅くだからすごく大雑把。もちろん知って欲しい事はたくさんあるからそうなってしまうのは仕方ないかもしれない。逆にハイエンド向けの情報はピンポイントなだけにとても濃厚。”ここまでは知ってるでしょっ”ってとこから始まるから濃い割りに無駄は無い気がする。

 だから、ビギナー向けにもピンポイントで本質を考えられるような記事にしたらおもしろいかなと。教則本には書かれないようなつまんない?事を真剣に考えると未来は変わってくるかもだ。


 でね、今回はホントに始めの始め、ギター選びのポイントについて考えてみよう。販売員として一番楽しい仕事だった気がする。今はネットで購入される方も多いと思うが、やっぱり楽器屋さんに行っていろいろ触らせてもらって必要な小物まで一つ一つ選ぶのは楽しいよ。近くに楽器屋さんが無い方もちょっと足をのばして行けるようだったらぜひ検討してみて下され。

 さあ、ギターを選ぼうって時に店員さんは大抵こう言う。”どんな音楽をやりたいんですか?”とか ”好きなアーティストは?”みたいな事を。これは何を意味するかと言えば、ギターにはこういう音楽専用とかの仕切りは無いが、各ジャンルに有利なように作られているものは有る。判りにくいかな?。すごく砕けて言うと、クラシックギターでポップスを弾いちゃいけない訳じゃないが、もっと向いてるギターがあるよというコト。

 突き詰めていくと、同じハードロックの中でもこのメーカーとあのメーカーだったら”こっちの方が好みに近い音が出るよ”みたいに、より自分のやりたい音楽に向いてるギターを探す為の第一歩が、やりたい音楽はどんなのか?を確認することなのだ。

 コレに対する答えはいろいろだが、比較的多いのがロック?とかポップス?とか、なんか漠然とした答え。”いろいろ聴きます”とかね。こういうつかみ所の無い答えの時、店員さんの次の手は、”ご予算は?”。

 この予算は?ってのは総額という意味でもあるけど、アンプやシールド等の小物をどこらへんまで用意したらいいのか?って意味でもある。ここは”予算は¥○◯で”と、ぶっちゃけて言ってしまおう。そうするとおのずとギターの価格帯が一気に絞り込まれるから、その中で人気のモデルとかを紹介してくれるので、まずは触ってみよう。

 で、触ってみて気付く。”何が良くて何が悪いのかがわからん”。そうだよね。最初はただ抱えてるだけだもん。だけど何本か触らせてもらうと ”あ、さっきの方が...。”とかなんかしら見えてくるもんだ。

 ただね、一つ覚えておいて損は無いのが、既にギターをやっている友達をご意見番に連れてくる方もよくいらっしゃるけど、もしそうするならその人選はギターに詳しい人よりも、あなたに詳しい人を選んだ方がいいというコト。どっちにも詳しきゃ言う事無し。

 当たり前だけど ”どんなのがいいのかな?”って聞くと、ご意見番は大抵自分の好みが出てしまう。”こういうのがいいんじゃん?と、ハイエンド向けのを選んだりして。どうせそのうちそういうの欲しくなるからという或る意味親切な意見なのだが、でもね、初めて買ったギターってなんか特別でね。ここはやっぱり自分が ”イイ!!”と思った物を買うべきだよ。

 それは色でもカタチでもなんでもいい。もちろん弾きにくいヤツもあったりするから、店員さんや友達の意見も聞いて、でも最終的には自分はコイツがいいと思ったギターを選ぼう。気にいったギターじゃないと練習も楽しくないしさ。ただし念の為、忠告はちゃんと聞くだけは聞こうね。決めるのは自分。

 因に、変なギターで練習すると上達が遅いみたいなのあるけど、理由も無くあまりに安過ぎる物(ちゃんと弾いてもカッコいい音しない)とか、あまりに変な形の物(変なフォーム覚えそう)は確かにそうかも。でもそれ以外では上達のスピードは関係無いと思うよ。あ、ギター自体のセッティングがダメだと関係有るわ。

 それはまた、別のおはなし...。






 ん〜、どうざんしょ? 役に立ちそう?。   次回へ続く....?
# by Rune-guitar | 2013-04-16 00:58 | guitar repair
 え〜、なんだかとても久々でとても恐縮です。前回が、え〜っと1月12日ですか。まるで季刊ですね。困ったもんです。

 さて、僕の仕事はギターの修理なのですが、興味の方はというとカスタマイズ的な事が好きです。例えばいかに楽して上手くなるかとか、簡単でカッコ良く見える技はないかとか、簡単にスケールを覚えられる方法は?とか、あれっ、全然カスタマイズじゃないですね。

 いやいや、カスタムの基本ってやっぱり楽にとか簡単にとか、発想の根っこはそういう部分にあると思うんです。久々なせいか丁寧語になってますが気にしないでください。


 例えばストラトにハムバッカーを積む。これはシングルコイルでヘヴィーなディストーションを得るのが難しいからで、ハムバッカーなら簡単に音が作れるだろーというコト。フロイドローズも然り。シンクロトレモロでチューニングをキープするが大変だから。指板Rをフラットに、弦高下げられて楽だから。スキャロップ、レガートのフィンガリングが楽だから。ジャンボフレット、以下同文!。

 まあ必ずしもではないけれど、演奏が楽になるという事はその分集中も出来る訳で、特に僕みたいに80年代にギターにのめり込んでいた世代にとっては改造というハードルはそう高くない。学園祭ではバンドが一杯出てたし、なかでもギターは花形だったからね。アイツより上手くないとうまくない訳さ。そのためにはギターもイジルさ。丁寧語じゃなくなってるけど気にしないでね。



 そんなギターキッズ時代を経て、理想とするギター像を幾つも思い描き、いろんなパーツを試して、コレだって思ったギターも歳と共に変わっていき、そして今Curionという自分の思いつく最も付き合いやすいギターを作ってみてふと思った。

”アンプ直ってどうよ?”

 バンドやってた若かりし頃は、コンパクトEFた〜くさん繋いでモッサモサの音出してたけど、そのうち音抜けとかちょっと勉強してEFの数がどんどん減っていく訳だ。今も使ってるマーシャルの2210を買ってからは、マルチ1個とかワウ1個って時もあった。それくらいギター〜アンプ間にはシールド以外はなるべく何も無い方が音の通りは良いのだよ。
 でもさすがにホントに何も無いとチト限界も感じるよね。腕だけだとさ。で、

”アンプ直ってどうよ?”になった訳。自分が一番よかれと思ったギターは当然アンプ直で構築していったけどさ..。

 やっぱ現実問題、音抜けとか音質は何にも勝るのかというと別にそんなコトも無い。ワウ踏まずにマイケルシェンカー出来るんかっ!て事だ。EF複数使用によるシグナルの劣化が少なければ2〜3個くらいは使いたいよね。
 そんな観点から最近ではEFバイパス時の音質確保?の為に、スルーバイパス(トゥルーって打ちにくい)方式も多いんだとか。BOSSなんかだとバイパス時もシグナルは内部のバッファ回路を通る為、バイパスしてても原音通りにはならない。複数つなげば何個もバッファを通るので原音はどんどん変わっていってしまう。せめてEF OFF時はアンプ直の音が出てほしいって事でスルーバイパスなのだが、実はこれには問題がある。


 なんかバッファが悪者っぽくなってしまったが、そうではない。遠回りのようだが最初から話そう。

 まず、バッテリーを使わないパッシブのギターからの出力は、電圧はそこそこあっても電流量は少ない。こういう状態は音響の世界ではあまり望ましくない。ハイインピーダンスといって、ケーブル等での信号伝達効率がメチャクチャ悪く、ノイズの影響も受けやすい。信号が弱過ぎるのだ。シールドケーブルだと3~5mくらいが限界かな?。もちろんいいケーブルで。それ以上は劣化が顕著になってくる。それを強い信号に変換するのがバッファーの役割だ。電流量を増幅してノイズに強く劣化しにくいローインピーダンスの信号にしてくれる。それこそ最初にバッファがあれば後は全部スルーバイパスでもいいんじゃないかな。

 なのでこのバッファー、せっかくエフェクターに付いてたりするけど、それでは最初のケーブルでの劣化は防げない。て事はギターから出力された時点でローインピーになってて欲しいのだから理想を言えばギターに内蔵されているのが望ましい。これを実際にやってるのがEMG。P.Uにプリアンプを内蔵させた究極の状態だ。

 じゃ、みんなEMGを使えば全て解決!バッチグー!!(?)な訳ない。それではみんな同じ音になってしまう。EMG個性強いからね。はい、相変わらず前置き長いです。お待たせしました、今回のネタ、これでございます。

バッファー_c0179274_1411092.jpg



 今、システムエンジニアの友人とギター内蔵用のバッファを試作中。これはまだ検証機みたいなものだけど、なるべく使用感が無い、といっても無いとイヤみたいな、そんなところを目指しておりまする。基本掛けっぱなしで、それが ”その楽器の音” みたいに思えるヤツをね。乞うご期待。ちょっと先だけど。
# by rune-guitar | 2013-04-03 01:53 | guitar repair